鳥インフルエンザが流行して、たくさんの鶏が殺処分されました。私が住む京都でも、近隣の鶏舎に被害があり、明日は我が身と感じています。
過去に農林水産省で鳥インフルエンザ対策として「ウィンドレス鶏舎」が推進され、ウチの鶏舎でも少しでも防ぐことができればとその時に平飼いからの変更を試みました。
しかし、実際のところウィンドレス鶏舎がインフルエンザ対策としての科学的根拠がなかったと知り、少なからず憤りを感じています。
とはいえ鳥インフルエンザはなくならないので、現在は野鳥や生物の侵入を防ぐ対策を自分で調べて行っています。
防鳥ネットに重石をつけたり、排水溝にフタをしたり、鶏舎周りにカラス模型を吊るしたり……。
新型コロナウイルスの影響もあり、人間の消毒(衣服、手指)も徹底しています。
鳥インフルエンザ対策にはこれといった明確が答えがなく、「これで大丈夫かな」と不安が残るのが正直なところ。
ほかにも基本的な対策方法や見落としがちな点などがあれば教えて欲しいです。
(京都府・小山田慶さん/仮名・30代)
高木伸一
たまご博物館 館長
鶏舎の周囲に餌になるものを放置しない!鶏舎外でも糞を介して感染する可能性があります
相談者さんがおっしゃるように、鳥インフルエンザ予防の切り札とも言われてきた「ウィンドウレス鶏舎」であっても、2021年3月に鳥インフルエンザは発生しています。
そもそも、ウィンドウレス鶏舎の本来の目的は、寒冷地の防寒対策と光線管理であり、防疫目的にはされていないのですが、渡り鳥が入らないので安全という神話が広まっていったようです。
実際、農林水産省の疫学調査によると、野鳥は防げても、ネズミや猫の侵入が認められたり、従業員の靴や手指の洗浄が不十分であるなど、人や小動物によるウイルスが持ち込まれているとわかりました。
相談者さんもあらゆる対策をされておりますが、どんなにやっても目に見えない敵と戦うのは大変ですよね。
鳥インフルエンザの予防には、野生動物の侵入防止対策以外にも様々な対応が必要です。
2007(平成19)年10月に発行された社団法人全国家畜畜産物衛生指導協会の「高病原性鳥インフルエンザの発生を予防するために ―発生予防の基礎知識と効果的な方法―」が最もわかりやすい資料ですので、ぜひ参考にしてみてください。
このマニュアルのなかでも、特にポイントとなる防疫策をお伝えします。
まず、渡り鳥であるカモの仲間は、比較的警戒心が弱く、人間が気付かない夜のうちに、鶏舎まで近づくことがあります。
鶏舎の中まで入ることはありませんが、鶏舎のすぐ近くに糞をすることがあるので注意が必要です。
特に鶏舎の周囲に鶏の餌が捨てられていたり、周囲の畑や田にカモの餌となる穀類が放置されていると、カモなどの野鳥を呼び寄せる原因になります。常に清潔な状態を保つよう心がけましょう。
また、農場内への侵入は、人や車、機材を介するので、消毒の徹底が重要です。
市販の消毒薬でも高病原性鳥インフルエンザウイルスに有効とされていますので、質問者さんはすでにお使いのようですが積極的に利用しましょう。
最後に、少しでもわからないことや不安なことは、家畜保健衛生所に相談するのも対策の一つです。
少しでも参考になれば幸いです。