新規就農し、ハウスでアイコを中心としたミニトマトの栽培をはじめました。
まだ勉強中の身なので、いろいろな方からアドバイスをもらっているのですが、先日「一番花は摘み取ったほうが収量は増えるよ」と助言をもらいました。
なぜ収量が増えるのかわからないのですが、本当のことなのでしょうか?
また、摘み取った場合とそのまま育てた場合とでは、どのような違いがあるのでしょうか?
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中島洋治
とまと家
アイコの一番花は何もせずそのまま育てましょう
トマトの一番花の重要性
一番花とは、一番初めについた花のことです。
トマトが最初につけた花房を一段目花房といい、その花房の中に一番花が含まれています。
一番花をどのように扱うかは農家によりさまざまで、トマトをどのように栽培したいかという目的によって異なります。
トマトには「栄養成長」と「生殖成長」という2つの成長があります。
栄養成長とは、植物の葉や茎、つまり株全体が大きく成長することです。
生殖成長とは、自らの子孫を残すための成長を指し、花が咲いて実ができる過程がこれにあたります。
トマトを上手に栽培するには、この栄養成長と生殖成長のバランスが重要です。
一番花が咲き着果すると、栄養成長に加え、生殖成長もはじまります。
一番花の着果は生殖成長の最初の過程であり、トマトが実をつけるための重要なステップなのです。
逆を言えば、一番花の着果が上手くいかないと、トマトは栄養成長を優先させます。
収穫量を増やすためには、栄養成長と生殖成長のバランスを保ちながら株を大きくする必要があるので、一番花の扱いは重要な管理になります。
一番花の処置方法
特に何もせずそのまま育てる
ミニトマトの栽培では、一番花に実をつけることが大切です。
栄養成長と生殖成長のバランスが取れた状態で成長していくと、ミニトマトは長い間収穫が可能になります。
一番花を摘み取ると着果の負担が減り、栄養成長と生殖成長のバランスが崩れやすくなります。
一番花を摘み取っただけでは収穫量に大きな影響はありませんが、何もせずに育てた方が、バランスを保ちながら成長させやすくなります。
また、栽培作型にもよりますが、一番花の実は単価が高いうちに出荷することができるというメリットもあります。
一番花を摘み取る
あまり一般的ではありませんが、一番花を摘み取る場合もあります。
苗の状態が悪い、肥料や水が不足して栄養成長の状態が悪いなどの場合、花や実を摘み取ることで栄養成長を優先させ、株の成長を促します。
ただし、花や実をすべて摘み取るわけではなく、株の状況を見ながらどの程度取るべきか検討しましょう。
ミニトマトの場合、摘み取らずに育てよう
営農目的の栽培では、何もせずそのまま育てるのが最適です。
大玉トマトと異なり、ミニトマトでは一番花が実をつけることが重要で、栽培作型にもよりますが、低段位の果実を収穫すれば単価が高いうちに出荷できるというメリットもあります。
苗や株の生育状況により、一番花や実を摘み取る場合もありますが、しっかりと管理をしていれば問題ないので、摘み取らずに育てましょう。
このお悩みの監修者
中島洋治
とまと家
国内種苗会社に入社後、原種トマトの知識を深めるため南米にトマト留学。帰国後はビル屋上でのトマト栽培や海外のトマト栽培コンサルタントを行う。「トマトがあれば〜何でもできる!」を合い言葉に、「とまと家」としてトマトの魅力発信活動を主催。