新しくミニトマトの栽培にチャレンジしようと検討している農家です。
品種は消費者から人気のアイコにしようかと考えています。
知り合いの農家友達から、「トマトの栽培はわき芽かきが重要だ」という話を聞いたのですが、脇芽はどのように処理するのでしょうか?
手順や注意点を教えてください。
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中島洋治
とまと家
アイコの脇芽を見つけ、取り、定期的に確認することを繰り返します
アイコの栽培で脇芽かきをしないとどうなる?
植物の茎と葉の付け根から出る芽のことを「脇芽(わきめ)」といいます。「腋芽」と書いて「えきが」と読む場合もあります。
トマトの栽培で、脇芽を処理しないとどうなるのでしょうか?
ミニトマトは主枝をメインに利用して栽培する
脇芽を処理せずにそのまま放っておくと、どんどん伸びてしまいす。
野菜によっては脇芽から収穫するものもありますが、ミニトマトは、主枝(しゅし=株のうち一番太い幹から分岐する枝のこと)から果実を収穫する方法が一般的です。
農家の場合、主枝のみを残して、1つの株に対して支柱1本を添える「1本立て」という仕立て方法を行うのが一般的です。
そのため、ミニトマトの脇芽は、基本的に発生したらすぐに取る必要があると覚えておきましょう。
脇芽かきをしないとどうなる?
脇芽を取ることを「掻(か)く」または「摘(つ)む」といいます。植物の脇芽処理の作業は、「脇芽かき」や「脇芽摘み」と呼ばれます。
見つけた脇芽をすぐに摘むようにすると、その分、水分や栄養を主枝に集中させることにつながります。そうすることで、株はより早く、より多くのミニトマトの実を付けることができます。
逆に枝が増えたままだと、葉も茂り、栄養成長に傾きすぎるデメリットがあります。
元気でおいしい果実が付きにくくなるほか、湿度も高くなり病害虫の発生・拡大リスクが高まります。
アイコの脇芽かきを行う準備
脇芽かきはいつ・どのように行うのかを確認しましょう。
脇芽かきを行う時期
アイコは苗を畑に植え付けるのと同じタイミングで、最初の脇芽かきを行います。
一般的なミニトマトの植え付け時期の目安は、4月下旬~5月です。その後は最低でも1週間に1回、できれば2~3回は取るようにしてください。
栽培時期により、脇芽の成長速度が変わるため、高温期は高い頻度で行う必要があります。
なるべく雨の日は避け、晴れている日の午前中に作業に着手してください。空気が湿っていると、芽を取った後の傷口がなかなか乾きません。この状態は、病原菌が侵入する可能性を高めます。
脇芽かきを含む整枝(せいし=不要な枝をカットして株のバランスを整えること)や収穫などはすべて、植物に傷口を作る作業です。これらも同様に、晴れている日に実施するものと考えましょう。
必要な道具
商品名に「芽切り」や「芽取り」という単語が入っている専用のハサミも販売されていますが、脇芽を手で取るトマト農家も多いです。
刃物などの道具を使うことが、病害につながる危険性があるためです。
ハサミなどを使うと、手でつむのと比較して切断面が大きくなってしまうため、その分、病原菌にさらされるリスクが増えます。
また、道具を媒介にして病原菌が別の株へ伝染するケースもあります。ハサミを使う場合、消毒など道具の手入れも必要になるため、手間もかかるのです。
アイコの脇芽かきの進め方
それではアイコの脇芽かき作業の進め方について解説します。
脇芽かきのやりかた① 脇芽を見つける
まずはアイコに発生している脇芽を見つけましょう。
特に慣れないうちは、植え付けた株元を下からチェックしていくのがおすすめです。上から作業すると間違って主枝を取ってしまう可能性があるためです。
また、花房(かぼう=ふさのように連なって咲く花)の下の脇芽は要注意です。株の中の栄養分をよく使い、伸びるのが早いためです。他の脇芽より優先して処理してください。
もし誤って主枝を折ってしまった場合は、かわりに勢いのある脇芽を1つ伸ばして収穫しましょう。
脇芽かきのやりかた② 脇芽を摘む
5センチ以下の脇芽であれば手で簡単に摘むことができます。したがって早い段階で摘み取れるよう、できるだけこまめにチェックすることが重要です。
脇芽の根元に親指と人差し指を入れて軽く力を加えるだけで、ポキっと折れて取れます。
脇芽かきのやりかた③ 定期的にチェックし、繰り返す
植え付け直後の生育スピードが緩やかなうちは想像しがたいことですが、7~8月のミニトマトは特に樹勢が著しく、つみ忘れた脇芽がすぐに伸びてしまいます。
もし取り忘れて生長した脇芽を見つけたら、気づいたときにカットしてください。ミニトマトの脇芽は挿し木苗として再利用することもできます。
脇芽かきのコツ、注意点
アイコの栽培においても病気の発生や蔓延リスクを最小限に抑えるのが重要です。したがって、脇芽かきの作業は晴れた日に、手で行うのがベストです。
なお素手で作業するとミニトマトの樹液に含まれるアクが付いて、指が緑や黒っぽい色になります。
気になる人はビニール手袋などを装着して作業を進めるとよいでしょう。
このお悩みの監修者
中島洋治
とまと家
国内種苗会社に入社後、原種トマトの知識を深めるため南米にトマト留学。帰国後はビル屋上でのトマト栽培や海外のトマト栽培コンサルタントを行う。「トマトがあれば〜何でもできる!」を合い言葉に、「とまと家」としてトマトの魅力発信活動を主催。