新たにハウスでミニトマトのアイコを育てようと考えています。近くでアイコを育てている農家さんから「アイコは病気に強い品種だから初心者でも育てやすい」と言われました。
しかし、これまで病害で苦労してきたので、きちんと対策はしておきたいです。
アイコの栽培で特に注意すべき病気には、どんなものがありますか?また予防法も知りたいです。
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中島洋治
とまと家
アイコは一部の病気への抵抗性を持っていますが、青枯病などに注意しましょう
アイコの病気への耐性
アイコは斑点病や葉かび病、萎凋病などに抵抗性を持っており、病気にも強い品種であると言われています。しかし、抵抗性があるからといって絶対に病気にならないという訳ではありません。
植物の病気には、同じ病気内でも複数の種類(レース)があり、品種特性として持つ抵抗性では対応できないものもあります。
アイコがかかる可能性のある病気の種類
アイコは斑点病や葉かび病、萎凋病といった病気に抵抗性を持っていますが、他のトマトと同じように以下の病気にかかる可能性があります。
特に代表的な病気を7種紹介します。
青枯病(あおがれびょう)
梅雨明けなど高温多湿の時期に発生しやすい伝染病です。
日中に葉が萎れ、夕方頃になると元に戻るのが特徴です。数日間これを繰り返し、最終的には萎れが激しくなって枯れてしまいます。
進行が早く、葉が青いまま萎れてしまうことから「青枯病」という名称がつきました。
青枯病の判断方法は、茎を切って水につけてみることです。導管が緑褐色に変色し、白い液体が出てきたら青枯病だと判断して良いでしょう。
トマトの青枯病対策についてはこちらもご覧ください
「トマトが青枯病にかかった際の症状や対策方法を知りたい」
萎凋病(いちょうびょう)
種子伝染性・土壌伝染性の病害です。
病原菌は25〜28度で助長されるため、高温期に発生しやすく、傷んだ根から菌が侵入します。
下葉から黄化し始め、株全体が徐々に萎れていきます。初期の根は外見上変化は見られませんが、導管が褐色になっているのも特徴です。
灰色かび病
秋から早春にかけての比較的冷涼な気温でも発症しやすい病気です。
病原菌である糸状菌(カビ)が付着することで発症し、灰色のカビを生じます。葉茎のほか果肉にも発症し、悪化すると実が腐ります。
発生適温は18〜20度で、多湿条件が菌を助長すると言われています。
葉かび病
発症すると、まず葉の表面に黄または黄緑色の小斑点が生じます。
症状が悪化すると、葉の裏面にもくすんだ黄色や灰色をしたカビが生息し始め、色が濃くなり、最終的には落葉してしまいます。
一般的に、下葉から上葉にかけて感染が拡大するのが特徴です。発生適温は20〜25度で、高湿環境は進行を助長します。
疫病(えきびょう)
疫病も糸状菌(カビ)によって引き起こされる病害で、降雨や潅水時の水分を通じて葉、茎、果実に発症します。
葉の症状は、まず灰色の小斑点ができ、徐々に拡大し、中央部が濃い褐色になります。
高湿時には白色のかびを生じることがあります。果実では未熟果に発症しやすく、茶褐色の病斑ができて腐敗します。
20度前後が発生適温で、20〜25度で蔓延しやすくなります。
黄化葉巻病(おうかはまきびょう)
ウイルスが原因の病害です。
現在のところ、タバココナジラミバイオタイプB(シルバーリーフコナジラミ)とタバココナジラミバイオタイプQという害虫が唯一の伝染経路と言われています。
発症すると芽先の葉が黄化して縮れ、その状態のまま株の生長が止まるのが特徴です。
うどんこ病
うどんこ病は糸状菌(カビ)によって引き起こされる病害で、主に病原菌の分生子が風などで作物に付着して伝染します。
発生適温が20〜25度で、特に春と秋に多く発生する傾向にあります。
症状は、葉の表面にうどん粉を振りかけたような白いかびが発生し、徐々に黄化していきます。
症状が悪化すると、果柄やへたにも発生し、株全体が衰弱します。
アイコを病気にさせないための予防法
植物は病気の被害を受けると、収量が減少するため、予防の管理を行うことが重要です。
植物が病気にかかる主な原因は、高温多湿など各病原菌が好む気象条件になること、追肥、潅水不足などで十分な草勢が保てていないこと、露地栽培時など風雨により茎葉に傷ができることなどがあります。
茎葉病害に対しては、薬剤散布、土壌病害に対しては台木の使用が防除の効果を高めるため、これらの管理を積極的に取り入れましょう。
このお悩みの監修者
中島洋治
とまと家
国内種苗会社に入社後、原種トマトの知識を深めるため南米にトマト留学。帰国後はビル屋上でのトマト栽培や海外のトマト栽培コンサルタントを行う。「トマトがあれば〜何でもできる!」を合い言葉に、「とまと家」としてトマトの魅力発信活動を主催。