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サバ養殖を検討していますが、共食いはどうやって防ぐべき?

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サバ養殖を検討していますが、共食いはどうやって防ぐべき?

いまは遊漁船を運営していますが、経営が安定していそうな養殖業に興味を持っています。

養殖をしている漁師さんからいろいろ話を聞いていると、養殖では共食いをする個体があると聞きました。

養殖をする過程でさまざまな理由から死んでしまう魚もいると思いますが、共食いで大切な稚魚が死んでしまっては、経営も安定しないのではないかと思います。

とくに、サバ養殖に興味を持っていたのですが、サバも共食いをするのでしょうか?また、共食いを防止する方法はあるのでしょうか?

中平博史

全国海水養魚協会 専務理事

養殖のサバはエサ不足と攻撃的な性格によって共食いが引き起こされる

養殖のサバは共食いをする


養殖のサバは稚魚の時期に共食いをする性質があります。

ふ化後14日前後のころに活発に共食いがおこり、稚魚の生存率が10〜40%も変動してしまいます。

サバのこのような性質が養殖サバの生産量や生産効率を下げる要因となっており、養殖関係者を悩ませているのが現状です。


サバが共食いをする原因


エサ不足


共食いをする原因の一つがエサ不足です。

サバは生まれた時には3〜4mmしかない体長が、1カ月後には約10cmになります。このように成長速度が速いため、成長差が生じて、大きい個体が小さい個体を食べてしまうことがあります。

共食いを避けるために、サバの成長に合わせた十分なエサを稚魚の段階から不足なく与えることやサイズを揃える選別作業が重要です。

サバの養殖で使用するエサについてはこちらをご覧ください
サバの養殖に使用する餌は?餌の種類と特徴を教えて欲しい



性格


サバの性格はとても激しいのが特徴です。

エサを与えると争うようにしてエサに食らいつくほどの強い攻撃性があります。

このような性格が稚魚の時期の共食いを引き起こす原因の一つとなっています。


九州大学等が手がけるゲノム編集


ゲノム編集は、遺伝子情報をDNAの狙った場所を切断して自由に書き換える技術のことで、育種・品種改良に非常に役立つものとして注目されています。

九州大学等では、サバの攻撃性を抑え共食いを解決するためのゲノム編集技術の研究が行われるようになりました。

そして、ゲノム編集技術の研究の結果、攻撃性が抑えられたサバの品種改良に成功しています。

しかし、まだ実用化には至っておらず、安全性の検証や環境への影響などを検討している段階にあります。

近い将来にはサバの共食い問題を解決するものとして注目されるようになるかもしれません。


サバの共食いに関する知識を深めサバの養殖を始めよう


サバは稚魚の段階で共食いをすることが多く、稚魚の生存率はかなり低いです。

共食いをしてしまう原因は、エサ不足やサイズのバラツキ、サバの性格が関係しています。

エサを不足なく与えることや選別作業によりサイズを揃えることも対策となりますが、サバの性格に関してはあまり打つ手がありませんでした。

しかし、近年ではゲノム編集技術の研究が進んでおり、サバの品種改良への期待が高まっています。

サバの共食いに関して知識を深め、新しくサバの養殖を検討してみてはいかがでしょうか。

このお悩みの監修者

中平博史

全国海水養魚協会 専務理事

全国海水養魚協会の専務理事や一般社団法人マリン・エコラベル・ジャパン協議会の理事を務める、魚類養殖業のプロフェッショナル。養殖水産物の輸出や赤潮などの環境保全対策活動にも携わっている。

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