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青枯病がよく発生する時期が知りたい

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青枯病がよく発生する時期が知りたい

青枯病はどのような時期や条件で発生するものなのでしょうか?

野菜農家さんのもとで経験を積み、いつか独立しようと考えていますが、青枯病についてどうすればいいのかわかりません。

いまは青枯病が発症すると、株ごと抜いて圃場外で処分していますが、毎年発症するので、どうにかできないものかと考えています。

毎年だいたい同じ時期に発症するのですが、うちの圃場だけなのでしょうか?

青枯病が発生しやすい時期や条件があれば、教えていただきたいです。

李 哲揆

データサイエンティスト

青枯病は一般的に夏場(5~7月)の病気で、地温が5度以上で発病しやすくなります

青枯病の発生時期と条件


青枯病は、一般的に5~7月に発生しやすい病気です。

発生から蔓延するまでのスピードがとても速く、短期間でも放置すると圃場全体に悪い影響を与えてしまう可能性があります。

5~7月に発生しやすいのは、青枯病菌の特徴が影響しています。

青枯病菌の特徴についてはこちらの記事をご覧ください
青枯病の細菌について教えてください



地温の上昇とともに病原菌の活動が活発になる


青枯病は、細菌による植物病害です。この細菌の特徴は35〜37度で最も生育が活発になることです。

したがって青枯病菌は、寒い時期には土壌の深いところでじっと耐え忍び、地温の上昇する夏ごろに土壌中で増殖を繰り返し、健全な株の根に浸食して、青枯病を発生させます。

発病し始める地温の目安は約20度で、25〜30度以上で発生しやすくなるため、主に夏場に注意すべき病害と言えるでしょう。


水の流れで移動、蔓延していく


梅雨は降水量が多くなり、この時期に青枯病菌が蔓延しやすくなります。

青枯病菌は、地下1メートルほどの深い地中に存在しますが、土の中の水の流れによって移動し、圃場全体に広がっていきます。

日本では、暑い時期と降雨量の多い時期が重なることで、青枯病の蔓延しやすい環境が作られやすいですくなります。


抑制栽培と促成栽培での違い


青枯病の発生時期は、作物の抑制栽培と促成栽培で若干の違いがあります。

抑制栽培 

通常の収穫・出荷時期よりも遅らせる栽培方法。高地生かした高原野菜などが一般的

促成栽培

通常の収穫・出荷時期よりも早めに収穫・出荷する栽培方法。ビニールハウスなどで温度を調節して出荷される傾向


抑制栽培の場合


抑制栽培では、通常よりも青枯病発生時期が遅く、8~9月ごろに多発する傾向です。

露地栽培の5~8月よりも遅く、梅雨が明けてから多発しやすくなります。


促成栽培の場合


促成栽培では、主に7~9月に多発しやすいです。

特に定植時期が8月中下旬になる場合、高温期と重なるので青枯病が多発しやすくなります。


青枯病が発生しやすい土壌


上記のとおり、青枯病菌は水の流れに乗って蔓延するので、水はけの悪い土壌では発生しやすくなります。

また、連作後の土壌も土壌中の病原菌密度を上げるため、青枯病を助長させる大きな要因となります。

その他、多肥栽培された土壌も青枯病菌を発生させる一因となることがあります。

このお悩みの監修者

李 哲揆

データサイエンティスト

名古屋大学大学院生命農学研究科にて博士(農学)を取得。東北大学、東京大学、理化学研究所などを経て、2018年からは東京農工大学生物応用システム科学府にて助教を務める。主な研究テーマは土壌微生物を用いた環境に優しい農法の開発。2021年4月から民間企業でデータサイエンティストとして働く。

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