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ブリ養殖で使用される抗生物質について知りたい

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ブリ養殖で使用される抗生物質について知りたい

ブリの養殖をしている者です。先日、私たちが育てているブリの中に病気になったものがいます。

先輩に相談したところ、獣医師または魚病防疫員に相談するように言われたので、獣医師に診断していただき、抗生物質をエサに混ぜて与えました。

無事に病気が蔓延することなく、事なきを得たのですが、人間と同じように魚にも抗生物質を与えるとは知らなかったので、驚きました。

まだ新米漁師ですが、ちゃんと勉強していきたいので、ブリ養殖で使用している抗生物質の使用基準や安全性、注意点などを教えてもらいたいです。

中平博史

全国海水養魚協会 専務理事

抗生物質などの水産用医薬品は2種類あります。基準や注意点に気をつけましょう

ブリ養殖における抗生物質とは?


魚の健康管理を行うことは、養殖魚を育てる上で重要なポイントになります。

ブリも人間と同じように病気にかかります。例えば、代表的なものとしてレンサ球菌症があります。

こうした病気にかかった場合、養殖魚もお医者さん(獣医師)に診断してもらいます。

そして、治療に使用されるのが、抗生物質などの「水産用医薬品」です。

水産用医薬品には大きく分けて二つあります。

一つ目は、病気の予防として用いられる「ワクチン」です。

二つ目が病気の治療を目的に用いられる「抗生物質」や「抗菌剤」「駆虫剤」です。

例えば、養殖ブリがレンサ球菌症と診断された場合、マクロライド系の抗生物質を投与します。


抗生物質の使用基準と安全性


抗生物質をはじめとした水産用医薬品の使用には、人間が使用している医薬品と同じように薬事法に基づいて承認されており、魚ごとに用法・用量、休薬期間などの使用基準が厳しく定められています。

使用基準を正しく守って使用すれば、安全な水産物として出荷できるのです。

国や自治体では、養殖魚などの水産品に医薬品が残留していないか検査し、監視を行っています。もし使用基準に違反して医薬品を使用した場合、規定により処罰の対象となります。

また、抗生物質などの水産用医薬品を使用する上でもう一つ大切なことは、使用記録をつけることです。

使用記録をつけることで、医薬品の使用に問題がないことの証拠となります。その際、次の8項目を記録しましょう。
1、使用した年月日
2、使用した場所(生けすの番号)
3、使用した水産動物の種類、尾数及び平均体重
4、使用した医薬品の種類(有効成分または品目)
5、使用方法及び使用料
6、水揚げできる年月日
7、実際に水揚げした年月日
8、出荷先



抗生物質使用の注意点


抗生物質を使用する上で、いくつかの注意点があります。

・有効期限の切れた薬
・購入時期が不明な薬
・保管方法が不適切な薬
・何の薬か不明なもの

これらの薬は処分するか、確認してから使わなければいけません。

また、国に承認されていない抗生物質を使うことはできません。

品質保証がなく、有効性や副作用、人への安全性などが担保されていないことになります。

未承認の抗生物質をブリなどの養殖魚に使用した場合、薬機法違反になる恐れがあるので注意しましょう。

さらに、気をつけなければいけないこととして、「薬剤耐性菌」の出現があります。

抗生物質に依存した健康管理を続けると、まれに耐性をもった菌が出現してしまいます。

特にブリ養殖では、レンサ球菌症に対してマクロライド系抗生物質による治療が行われてきましたが、耐性菌の出現が問題となっていました。

現在では、抗生物質の投薬に加えて、病気を予防する観点からワクチン接種が行われています。

抗生物質とワクチンを適正に使用して、安全・安心なブリ養殖を行いましょう。

このお悩みの監修者

中平博史

全国海水養魚協会 専務理事

全国海水養魚協会の専務理事や一般社団法人マリン・エコラベル・ジャパン協議会の理事を務める、魚類養殖業のプロフェッショナル。養殖水産物の輸出や赤潮などの環境保全対策活動にも携わっている。

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