埼玉県の豊かな山々に囲まれた畑で、野菜やお米を作っています。
農薬や化学肥料は徐々に減らしており、除草剤は一切使用しておりません。
本格的に緑肥や籾殻などの有機資材を使用するようになって10年ほどで、やっと満足できる土壌になってきていると実感しています。
最近とても気になっているのが、特定外来生物ナガエツルノゲイトウのことです。
千葉県の農業用水路で繁殖したという話題がありましたが、どうやら埼玉の一部の水田でも確認されていたことを耳にしました。
「水田に一度侵入したら駆除が困難」「畑にも侵入して雑草化してしまう」という話を聞いているので、とても心配です。
ここまで作ってきた農地ですが、もし侵入されたら除草剤を使うしかないかと考えていました。
しかし、どうやら除草剤の効果も怪しいようなので、防除方法の注意点をぜひ教えてください。
(埼玉県・東田さん/仮名・50代)
NPO法人 緑地雑草科学研究所
NPO法人 緑地雑草科学研究所
ナガエツルノゲイトウは早期発見・早期薬剤が重要、駆除には薬剤が効果的
ナガエツルノゲイトウは主に水辺に生息する、南米原産の多年生雑草です。
日本では特定外来生物に指定されていますが、海外でも水田や水路の強害雑草として重大な問題になっています。
小さな断片から容易に発根・再生するため、繁茂すると除去は非常に困難であり早期発見・早期駆除が重要です。
特に、農業水路を介して断片が運ばれ、下流の農地で再生することもありますので、個々の問題としてではなく、水系全体の問題として管理することが重要です。
さて、具体的な駆除の方法ですが、一度根を張ると地下50㎝まで伸び、根からも再生するため、抜き取りでの駆除は非常に困難です。
よって、薬剤を用いた防除が有効です。
具体的にはフロルピラウキシフェンベンジルを有効成分に含む除草剤(ロイヤント乳剤等)の適用や、収穫後の非選択性茎葉処理剤(ラウンドアップ等)の散布が効果的との報告があります。
なお、防除方法や拡散防止については、農林水産省のウェブサイトにて、ナガエツルノゲイトウに関しての解説や駆除マニュアルが公開されています。