埼玉県で土作りにこだわって旬の野菜を育てています。
新たにビニールハウスを導入し、一年中栽培が可能な水菜を年明けから始めようと準備しています。
せっかくなので、できるだけ収量をアップさせようと先輩に相談してみると「小株どり・中株どり・大株どり」の3回にわけると収穫がアップするとアドバイスを受けました。
しかし、先輩も実際にやっているわけではないので収穫のタイミングがよくわかりません。
そこで、「小株どり・中株どり・大株どり」の収穫のタイミングを教えてください。目安となる草丈など、できるだけ具体的なアドバイスをいただきたいです。
(埼玉県・島本さん/仮名・30代)
鈴木雅智
ブロ雅農園
水菜の草丈は5cm刻みで20cm、25cm、30cmと順番どりをしています
こんにちは。神奈川県三浦半島で多品目農家をしているブロ雅農園の鈴木と申します。
水菜の専門家ではないのですが、栽培している多品目野菜のなかに水菜もありますので、地域性などの違いはあるかと思いますが、一部でもご参考になれば幸いです。
まず、水菜の「小株どり・中株どり・大株どり」ということですが、わが家も直売所や東京や横浜など都市部のレストランに卸している関係で「順番どり」のような形になります。
少し密植気味にクリーンシーダー(播種機)で種をまき、間を開けながら収穫すれば、長い期間にわたって、量もとれるためお客さんからも喜ばれます。
我が家の場合は毎回、厳密に測っているわけではありませんが、数値化すると以下のイメージです。
1、小株どりは、草丈約20cmほどになったら取り始めます。収穫後の株間は、15cmくらいが理想です。
2、その後、草丈25cmくらいになったら中株どりをして、株間を30cm以上広げます。
3、株と株の間が空いて、光が当たりやすくなると、グッと育ちがよくなるので、30cm以上になったら大株どりという流れです(農家によっては、中株で株間5cmとする方もいるので、一概に決まっているわけではありません)。
ブロ雅農園ではあくまでも、レストラン出荷と直売出荷なので、規格がありません。草丈は厳密に測っているわけではなく、徐々に株間を空けているというイメージです。
大切なのは、サイズによって食べ方の提案などをすると、購買意欲につながるように販売することだと思っています。
サラダなどが希望の場合は、柔らかくて葉が小さい小株どり、火を入れたり漬物にしたいなどの時は、大株どりといった具合です。
また、我が家では、取引先の飲食店さんに定期的に畑に見学にきてもらって、意見交換会を開いています。
実際の作り手である生産者と、調理する立場の方々との間では、意見がズレることも多く「こんな料理にしたいから、これくらいのサイズが一番ありがたい」などと伺うことも重要です。
意外だったのは、40cm以上も大株になり、大きすぎて処分しなければならないかなと思った時に、お客さんから「このくらい大きなものが欲しかった。根の際の部分がとても美味しいんですよ」と言われて、高値で売れたこともあり、驚いたことがありました。
また、緑色の定番の水菜だけではなくて「紫水菜」などがあると、直売所や飲食店で喜ばれます。
直売所では、小株をミックスで販売するとよく出ます。飲食店では緑より紫の方が人気が出て、足りない時もあったくらいです。
水菜は、昔は水路で作ったから水菜だとか、簡単で誰でも作れるなどと言われる時もありますが、こだわれば非常に奥深い野菜でして、決して簡単とは言えないと思っています。
地域柄もあると思いますので、購入者のニーズをよく聞いて、売れるサイズ感を把握しながら作りやすい作型を見つけていけたら理想的ですね。