宮城県気仙沼で遠洋マグロの延縄漁船を運営する会社で働いています。
いま、赤道の上空3600kmに配置されている静止衛星の電波を利用した「インマルサット衛生通信機器」を導入するかどうかを検討しているところです。
南側さえ開けていれば、通信環境は安定していて、悪天候にも左右されないので、とても魅力を感じています。
今後、遠洋漁業を担ってもらえるような若手の育成を考えたときに、長い洋上生活での通話や通信環境を整えていくことは、必須の条件ではないかと思います。
ただ、その導入には大きな初期費用がかかり、月々の通信料の負担もこれまでの数倍はかかるため、少し慎重になっています。
また、そうした費用面に限らず、アンテナ(ドーム)を立てなければいけないため、狭い船内でどこに設置したら良いのかなど、物理的な問題もあります。
このシステムを導入するにあたってのアドバイスや、設置するための補助金制度などがあればお教えください。
(宮城県・工藤さん/仮名・50代)
馬場 治
東京海洋大学名誉教授
Wi-Fi環境は乗組員確保に必要です。自治体によっては補助制度もあります
残念ながら、質問者さんが求めるような漁船内の通信環境整備を目的とした国の補助事業はないようです。
ただし、地方自治体によっては、漁船の種類(たとえば遊漁船など)によって、あるいは漁船の新造に関する補助事業で、通信環境整備のための費用も含めて補助対象とする例があるようです。
これらの補助事業に関しては、所属都道府県の水産事務所や水産試験場などの水産業普及指導員、あるいは市町村の水産関係部署の担当者に相談するのがいいと思います。
また、衛星通信機器の設置上の注意点に関しては、機器メーカーにご相談されるのがいいでしょう。
なお、国においては、漁業構造改革総合対策事業(いわゆる「もうかる漁業」)による新船建造や改修にあたって、遠洋漁船を中心に船内Wi-Fiを整備する例が増えてきていて、とくに若い乗組員には好評のようです。
長期航海となる遠洋漁船においては、いつでも、船内のどの場所からでもWi-Fiで日本の家族などと連絡が取れることは、乗組員の家族にとっても安心感があり、新たな乗組員を確保する上でも必要な条件になりつつあるといえます。
ただ、設置費用や通信費用がまだまだ高いことが経営者にとっては悩みのタネです。機器の設置が普及してくれば通信費用も安くなるだろうと思われますが、まだそこまでは普及していないのが実態です。
衛星通信機器の導入を検討するにあたって、国土交通省の「海上における通信環境について」という資料があります。参考にしてみてください。
株式会社ライトハウス神戸
株式会社ライトハウス
漁業×ITで事業を展開しております株式会社ライトハウス取締役の神戸と申します!
おそらくご検討されているのはインマルサットFXという商品かと思います。
全国の海外まき網や遠洋のはえ縄船の社長や船頭とお話ししている中で、確かに導入が増えているかと思いますし、今後の計画として考えている方が多いです。
導入している背景としては、大きくは2つあると思います。
1つ目は船員向けの福利厚生です。やはり家族や友人などと気兼ねなくLINEができることはかなり心理的にいいとのことです。
2つ目は通信料金を気にせず衛星通信が発生するサービスを使えるというところがあると思います。気象海象情報やソナーブイ、FAX、電話、様々なものを用いて漁獲効率を上げようと皆様考えている中で通信量を気にするのはストレスがかかるため、楽になったという意見を聞きます。
また、確かにアンテナなども比較的大きいため実際に導入できるかは現場を見てみないといけないと思います。
弊社はインマルサットFXを安価に提供できる会社の一つでありますし、他にも遠洋のはえ縄船の悩みなどを聞きたいと思いますので、ぜひ一度お話をしてみたいと思いました!
石巻を拠点にしているFishermanJapanさんと業務提携している関係で宮城県には定期的にお伺いしているので、そのご縁も勝手に感じております。
もし少しでも気になりましたら、お手数をおかけしますが、こちらのHPの問い合わせフォームから私までご連絡いただけますと幸いです。(携帯番号を載せるのもどうかと思いまして)
https://lighthouse-frontier.tech/