menu
Pull to refresh

にんじんを「冬まき」で栽培し、春に収穫するコツや注意点を教えてほしい

文字サイズ

拡大 標準

にんじんを「冬まき」で栽培し、春に収穫するコツや注意点を教えてほしい

今まで「黒田五寸系」のにんじんを、露地栽培で4月頃に蒔いて8月頃に収穫する「春まき」と、8月頃に蒔いて翌年2月頃に収穫する「夏まき」で育てていました。

しかし、最近は猛暑のせいか「夏まき」がうまくいかないケースが増えてきて、今年は発芽すらしなかったものも少なくありませんでした。

「夏まき」をどうしようかと考えていたところ、これからは「冬まき」の方が温度対策さえすれば失敗しにくいし、品種改良も進んでいてとう立ちもしにくいと耳にしました。

そこで耐寒性があり、低温着色性に優れているとされている「ベーターリッチ」を使って「冬まき」に挑戦しようと考えています。

もし「冬まき」がうまくいけば、周りにやっている人がいないので、端境期に売りに出せるチャンスになりそうです。

そこで、にんじんを「冬まき」で育てるコツや注意点を教えてください。
(神奈川県・清水さん/仮名・30代)

鈴木雅智

ブロ雅農園

にんじんの冬まき栽培は、温暖地であれば可能ですが、トンネル栽培は必須です

こんにちは。神奈川県三浦半島で多品目農家をしているブロ雅農園の鈴木と申します。

2023年は、にんじんを栽培するのが非常に難しかったですね。私も1回目の種まきの「夏まき」が失敗してしまいました。

昨今の夏の猛暑は異常だと言われていますが、今後もこのような年が増えると、異常気象と呼べなくなるかもしれませんね。

また種まきの適期についても、種屋さんと話している時に、種の絵袋の裏に書いてある時期とずれてきていると話す機会がありました。

相談者さんがおっしゃるように時期をずらすなど、これからは「先見の明」を鍛えていきたいと思います。

わが家は「農業体験」を年間4,000人くらい受け入れている関係で、1年間で一番体験需要が多いのが毎年5、6月頃に集中します。

この2か月で2,000人以上の体験希望者が来園しますが、人気なのがにんじんの収穫体験なので、どうにかしてこの時期に収穫できるように栽培できないかと、試行錯誤してきました。

結論を言えば、暖地(温暖地)であれば可能です。ただ「トンネル栽培」は必須と言われています。

同じ地域でも日照条件の違いなどで地温の確保なども課題になってくるかもしれませんが、ポイントは以下の5点になります。

1、とう立ちしにくい品種を選ぶ〜「ベーターリッチ」など

2、トンネル栽培をする〜
場所によっては、冬の強風に耐えられるような強いトンネルづくりをします。トンネル栽培の場合、穴を作って換気した方がよいとする考えもありますが、風が強い地域だと注意が必要です。

3、適度の灌水〜
乾きやすい冬の時期は、にんじんが肥大するタイミングに、いきなり大雨にあたると縦に裂けるように割れる場合があります。
 
適度な水分量が確保できない場合は、乾きすぎないように灌水する方法くらいしか今まではありませんでしたが、最近は、土壌に含まれる水分量や温度をセンサーで把握できる「e-kakashi(イーカカシ)」などの便利な水分計量器などの道具もありますから、ご利用を検討してみるのもいかがでしょう?

従来は、農業者の経験則に頼っていたものが、今はデータ化できるので、費用と相談しながら導入を検討してみる価値は十分にあると思います。

4、マルチの使用〜
地温が低い場所の場合は、収穫量こそ減るものの穴あきマルチなどを使用して地温を確保します。

5、防除〜
我が家では、収穫体験やレストランへの出荷など直接取引がメインなので、にんじんは多少形が悪くても販売できるため「栽培期間中は農薬不使用」で栽培していますが、一般的には、トンネル栽培だと黒斑病、菌核病、立ち枯れ病などを起こすリスクがあると言われています。そこで早期の防除も大切です。

ポイントとしては以上の5点が挙げられます。

にんじんは、発芽さえすれば成功と言われていますが、この時期の発芽は温度を確保しないといけないので、さらに上級者向きです。

どうやって発芽までの地温を確保するかが最大のポイントでしょうね。マルチ+不織布+トンネルなどでやれば確保できると思いますが、その分、手間がかかるので、省力化にはどこの手間を省くかも大切です。

ここからは私の実験中の話ですが、私が営農している三浦半島の場合、最大の課題は大風です。

冬のトンネル作りは、飛ばされる可能性を考えると極力したくありません。

また、労働時間を考えると、やはりトンネル作りは一番負担になります。

そこで2024年はトンネルなしの実験区で、穴あきマルチ+不織布+寒冷紗で栽培した場合はどうなるかを実証しています。

今年は暖冬傾向なので「もしかしたらこれでもいけるのではないか」と思っています。

私は常に、どれだけ、省力化できるかということを考えて栽培しているので、実験がうまくいったら、またこの場を借りてお知らせします。

シェア

COMMENT

この記事を誰かに教える /⾃分に送る

お気に⼊りに登録
ツイート
シェア
送る
NOTE

会員登録と⼀緒に公式LINEに登録すると便利です。

業界ニュースやイベント情報などが届きます。

友だち追加

あなたの悩み
YUIMEで解決しませんか??

農業や漁業に関する悩みや疑問や不安、
悩みごとについておよせください。
いただいた投稿から選考した相談内容について、
編集部や専⾨家がお答えします。

Loading...