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ブルーベリーの収穫量が減ってしまった。安定した収穫ができる栽培方法は?

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ブルーベリーの収穫量が減ってしまった。安定した収穫ができる栽培方法は?

旬の野菜などを中心に露地栽培を行っています。できるだけ農薬や化学肥料を減らし、有機野菜を作ることを目指していますが、まだ失敗を繰り返している状況です。

家族がブルーベリー好きという理由で、大きさが1mほどのラビットアイ系を10本、2020年秋に植え付けしました。

植え付けの際には、植え穴にブルーベリーと相性のいいピートモスを大量に使い、根元にはモミガラ多めに使ってマルチングし、春先から1ヶ月おきに油粕などを与えました。

その結果、2021年はかなりの収穫量があり大喜びしたのですが、同じように育てた2022年は収穫量が落ちてしまいました。

育て方は変えていないはずなのに、これほどまで収穫量に差が出るとは想定していませんでした。

株が大きくなりすぎないように、2022年の春前(2月頃)に全体的に枝を剪定しましたが、それ以外に大きく栽培方法を変えたことはありません。

ブルーベリーの収穫を安定させるためには、どうすればいいのか教えて欲しいです。
(群馬県・吉田さん/仮名・30代)

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

ブルーベリー栽培では、定植して数年は結実させない方が収穫量は増えます

ご相談者さんの悩みを拝見して、その内容から推察しますと、原因は剪定の影響だと考えられます。回答の前に、まずは、ブルーベリーのどの部分に花がつくか考えましょう。

1.ブルーベリーの剪定では枝先を落とすな

ブルーベリーは落葉果樹であるため、冬になると落葉します(ただし、品種によっては落葉しにくいものもあります)。春になって、暖かくなってくると発芽し始めて、花が着いたり、芽がでたりします。

ブルーベリーを含めて多くの落葉果樹は、約1年前(前年の夏ごろ)に樹の内部で、どの部分が翌年花になるかどうか決まります(これを「花芽分化」と言います)。

次に、ブルーベリーの新梢(新しい枝)は、伸長すると先端が褐変して枯死し、脱落します。つまり、先端がなくなります。先端がなくなるために、その下の芽が頂芽の役割をします。

その頂芽の役割をする芽から基部(株元)に向かって数芽に翌年花がつきます。

下記第19図をご覧下さい(一番左側の枝を見て下さい)。

ブルーベリーのつくり方,石川駿二・小池洋男 著,2002年,農文協
『ブルーベリーのつくり方』(石川駿二・小池洋男共著、2002年・農文協)より引用

上記第19図左から2番目の図を見ると、剪定時に、枝先を落としてしまうと春になって花が咲かず芽だけが伸びてきます。

以上のことから、剪定は枝先を落とさないようにして下さい。

2.ブルーベリーは定植後数年は結実させない方が、将来の収穫量が増える

ご相談者さんは、ブルーベリーを植えられて何年かは不明ですが、育てられているのはおそらく5年以内(就農5年目)の若木だと思われます。次にこちらの第18図をご覧ください。

ブルーベリーのつくり方,石川駿二・小池洋男 著,2002年,農文協
『ブルーベリーのつくり方』(石川駿二・小池洋男共著 2002年・農文協)より引用
そこで、ご相談者さんにご確認いただきたいのですが、栽培されているブルーベリーに上の図のようなシュートやサッカーは発生しているでしょうか?

簡単に申しますと、シュートとはひこばえの一種で、本体の幹の根元から立ち上がる枝を指し、サッカーとは、地表スレスレの地下で横に張り出している根っこから地上に顔を出した枝のことです。

最初、苗木を定植された時、株は1本だったはずですが、ブルーベリーは年々シュートやサッカーが発生し、何本もの株(ブッシュ状)になります。

しかし、シュートやサッカーが発生していないのであれば、苗木を定植して、あまりにも早くから結実させてしまったため、樹が弱って、翌年結実しなかった可能性が考えられます。

ブルーベリーを含め果樹類は、定植後、数年は結実させないで樹を大きくした方が、後々、収量も多くなります。

一方、早くから結実させてしまうと樹が弱ってしまい、後々樹があまり大きくならず結果的に収量が少なくなる傾向があるのです。

ここでは、シュートやサッカーが発生している前提で剪定方法について簡単に述べさせていただきます。

まずは、弱小枝や下垂している枝は剪除しましょう(ただし、下垂枝の途中から枝が発生している場合は、その枝との分岐部で剪定することで、枝の更新を図りましょう)。

定植して4~5年生の株であると思われますので、株元から発生している主軸となる数本の幹(5~6本を目安)を残して、残りのシュートやサッカーは剪除します。

また、樹の内部に光が入っていないようであれば、込み合った部分の枝も剪除しておきます(ただし、込み合っている枝を全て剪除すると、枝に直接光が当たり、日焼けを起こします。従って、すべて剪除するのではなく、ところどころ間引く感じで構いません)。

また、中心に向かって伸長している内向枝も剪除しておきます。

以上のように、ブルーベリーは基本的に、枝先を剪除しないようにしてく下さい。

ただし、大木になってくると、スペースの問題があって、これ以上は伸ばしたくないので、枝先というか枝の途中で剪定することはあるかと思いますが、まだ、若木だと思われますので、あまり枝先を切ることはないかと思います。

以上、私が気になった点を書かせて頂きましたが、現場を確認しておりませんので、見当違いのことを述べているかもしれません。

その際はご容赦下さい。

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