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漁師仲間と経営のための研究会を立ち上げたい。組織体制や手順はどうすればいい?

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漁師仲間と経営のための研究会を立ち上げたい。組織体制や手順はどうすればいい?

10年ほど前に山口県内に移住し、漁業を始めました。現在は漁協の青壮年部に属しています。

会員は沿岸や沖合で船びき漁や底びき漁、巻き網漁などをしていますが、最近は漁獲高が不安定で、集まるたびに今後の先行きに不安を感じるといった声を多く聞きます。

私としては、漁獲高の乱高下に左右されないよう、漁以外にもいくつか経営の柱を立ててリスクを分散していく必要があると考えています。

安定的な漁獲量が見込める養殖業に挑戦したり、新たな魚種、漁法や貝、海藻類の可能性も探ってみたりしたらどうかと思っています。

そのために、青壮年部が軸になって研究会を立ち上げ、ほかの地域の視察や、試験操業、養殖への挑戦を行なってみたら役に立つのではないでしょうか。

また、新たな販売先を探したり、加工して付加価値をつけたりすることも必要なので、商工会(商工会議所)や食品加工業者などにも声をかけて、研究会に加わってもらった方がよいかなとも考えています。

こうした研究会はどのような組織体制や手順で進めていくのが良いでしょうか。また、継続的にアドバイスをもらうとしたら、どのような方に頼むのがよいでしょうか。
(山口県・渡部さん/仮名・40代)

馬場 治

東京海洋大学名誉教授

漁協青年部の組織的取り組みと認知してもらえば協力が得られやすいです

お考えの通り、漁協青年部として研究会などを立ち上げて臨むのが一般的だと思います。

その場合も、都道府県の水産業改良普及員(水産業普及指導員)や水産試験場などに問い合わせて、事前に情報収集や視察先探し、試験操業、試験養殖の方法や検証などについて相談に乗ってもらうことをおすすめします。

また、取り組みの内容によっては青年部全員が参加できない場合もあると思います。その場合は青年部内で協議して、取組内容に関係の深い人たちが中心となって、いわば青年部代表という立場で取り組んでみてはいかがでしょうか。

単なる有志の集まりとするのではなく、たとえ青年部の一部であっても「青年部」の取り組みとして漁協に認めてもらうことで、助成が得られるかもしれませんし、改良普及員や試験場にも動いてもらいやすくなります。

実際に取り組む上で重要な点は、単に結果だけを見るのではなく、そのプロセス(過程)をしっかり記録し、こまめにデータを記録、蓄積して、後の検証に使えるようにしておくことです。

すぐに成果が出なくても、検証し取り組みの見直しをすることで成功するケースも多くあります。検証などにあたっては、改良普及員や試験場の研究者の協力が役に立ちます。

このような取り組みを行うにあたっては、一部の部員に業務が集中せず、より多くの部員が責任をもって関われるように、あらかじめ青年部内で役割分担を決めておくことも重要です。

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中澤さかな

道の駅「萩しーまーと」初代駅長、専務理事

まずは地域ぐるみで取り組むための体制づくりを!

まずは地元自治体(市町村)の水産関係部署に相談して、地域ぐるみで取り組むような体制を作っていく必要があると思います。

新たな魚種や海藻類、貝類についても、売ることを考えて販路を確保しておく必要があるので、地域内の直売所やスーパーなどの販売者にも、最初から関わっていただくことが肝要です。

また、鮮魚での販売だけでなく、加工品も開発するとなると、地元近隣の加工業者にも参加してもらうことが必要です。その上で、大学や県の水産研究所などの専門機関の協力があると安心でしょう。広報活動も重要なので、地元のメディアにも声をかけてみるといいですよ。

いずれにしても、漁協青年部単体での活動ではなかなか事業が前に進まず、成果が得られにくいかもしれません。「地域ぐるみ」で取り組む体制づくりが必要だと思います。

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