脱サラ就農して3年。きゅうりを中心に、多品目野菜を露地栽培で育てています。現在は、露地だけだと不安定なので、ハウス栽培を始めるための資金を貯めている状況です。
きゅうりを栽培する場合はハウス栽培のほうが適しているということは知っているのですが、実験的にきゅうりの露地栽培に挑戦しています。
栽培している品種は「相模半白節成」「夏すずみ」「四葉」で、5月に入ってから定植し、6月後半~9月にかけて収穫しています。
慣行栽培で、肥料は他の野菜と同じように与えていますが、他の野菜は同じような条件で問題なく育っているものの、思った以上に味がイマイチでした。
大きめのサイズに育ってくれましたが、大味で水っぽい感じになってしまう印象です。
露地栽培の場合、しっかりとした味にきゅうりを育てるのは難しいのでしょうか?
(神奈川県・金子さん/仮名・30代)
五十嵐大造
東京農業大学国際食料情報学部 国際食料情報学部(前教授)
きゅうりは95%が水分だが、特徴的な品種を育てているので、味に違和感を感じる場合もあるかも。品種の特徴に合わせて栽培することが品質向上につながります
ご相談者さんが栽培されているのは「相模半白節成(さがみはんじろふしなり)」「夏すずみ」「四葉(すうよう)」と言った、キュウリでは特徴的な品種を取り入れていて、おもしろい栽培をされていることに感心しました。
さてご質問ですが、「味がイマイチで、大味で水っぽい」とのこと。
そもそもキュウリは果実の約95%が水分と言われていますので、文面だけでは、その内容がよく理解できないので、以下の回答が適切かどうか気になるところです。
3つの品種を栽培されているなかで「夏すずみ」は一般的な品種ですが、他の2つはたいへん特徴的な品種といえるでしょう。
「相模半白節成」は昭和初期に育成された黒イボ系の品種で、今ではほとんど作られていません。味、歯応えも「夏すずみ」とは大きく異なります。
また、「四葉」もはっきり違いがわかる品種です。したがって味が異なるのは当然で、もしかして味がイマイチと感じるところがあるのかもしれません。
また、「収穫サイズは大きめ」とのことですが、大きめのキュウリは標準サイズと比較すると、食感が異なり、人によっては違和感を感じるかもしれません。
収穫の大きさに注意を払うのもポイントかと思います。
結実する場所(つるの違い)による差は、生育が健全で正常な果実が結実しているならば、品質に大きな影響を及ぼすことは考えにくいです。
水をこまめに与えているという点についてですが、常に水を与え続けて、土がいつも水浸しになっているようならば、根が弱ることも考えられますが、そうでなければ、灌水が原因で水っぽくなるとも考えにくいです。
実際にできた作物を見ておらず、ご相談の文面だけでは理解しにくい部分があるので、適切な回答になっているかどうかわかりませんが、上記に記した点を見直してみてはいかがでしょうか?
品種の特徴に合わせて、生育を健全に保って栽培することが何よりも品質を向上させることになります。そのうえで適期収穫に努めてみてください。