私の集落では、10年ほど前まで夜間に出没するイノシシを避けるために、常時赤い光が点滅するライトを設置する家が多くありました。
でも、すぐにイノシシが慣れてしまったのか、被害はやまず、その後は多くの家でメッシュ柵や電気柵を設置しています。それでも被害がなくなりません。
ウチの圃場はメッシュ柵で囲っているだけですが、柵だけでなく、赤外線温度センサーによって動く物のみに反応して光が点灯したり、音を出したりする機器の導入も考えています。
獣が出没した時にだけ瞬時に反応するものであれば、光や音に慣れるようなことはないので、撃退効果が長続きするように思うのですが、実際のところ効果はどうなのでしょうか。
(千葉県・石井和成さん/仮名・30代)
古谷益朗
野生生物研究所ネイチャーステーション
イノシシが驚いても効果は一時的。危険がないと学習すれば、慣れてしまいます
野生動物に音や光は通用しません。危険なものと認識するのは体に直接危害があるものだけです。
音や光は動物にとって痛くもかゆくもありません。
確かに初めて設置した時は驚くので効果があったように見えます。
でも、これは一時的なもので持続的な効果は見込めません。
今まで無かった音がいきなり鳴ったり、光に照らされたりしたら人間でも驚きます。
でも、それが危険なものではないと判断すれば普通の生活に戻ります。
いつも鳴っている音、いつも光っているものが、生活の一部になってしまいます。だって危険なものではないわけですから。
生産者から見れば「現場で発生する障害は簡単に安く取り除きたい」が本音だと思いますが、簡単な方法はありません。
動物の行動と生態を理解し正しい技術で対応しなければ作物を守ることはできません。
YUIME Japanでは、これまでにもイノシシ防除に関するさまざまな相談にお答えしておりますので、そちらもどうぞ参考にしてみてください。