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「稼げるスター農家をめざせ!」年間売上3,000万円を超える方法とは?

「稼げるスター農家をめざせ!」年間売上3,000万円を超える方法とは?

九州は福岡を拠点に、成長し続ける農家を輩出してきたクロスエイジの藤野直人さん。スターの誕生によって、農業という仕事が、若者があこがれるような魅力ある仕事に生まれ変わると語る「スター農家理論」の連載第2回!

ポイント
・スタートラインは売上3000万円!?
・農の世界の中小企業、スペシャリティー農家とは?
・そろそろ農業ファースト(第一主義)を叫ぼう!


どうも、農業総合プロデューサーの藤野です。

今回もさっそくまいりましょう!第2回のテーマは「儲かるスター農家とは?」です。

地域のあこがれ「スター農家」を目指すには?



今回お伝えする理論は、

・「トップ2%」理論

・「スペシャリティー農家」理論

・「農家ファースト」理論の3つです。それでは、順番に説明していきます。

1.売上3,000万円以上がスタートライン=「トップ2%」理論


農作物の販売によって、農家の手元に残る収入は、だいたい全体の3分の1が目安です。売り上げが増えて、生産コストや販売コストなどの経費を差し引いて、残りが自身や家族の取り分になります。そのため親子や夫婦が働き手である家族経営の場合、全体売上3,000万円のうち、手残り1,000万前後が悪くないラインです。

ここで一度立ち止まり、考えてみましょう。今後、事業規模を拡大するのか? 家族経営を続けて、品質を充実させていくのか……? 実は、この問いにたどりつく農家は全体の「約2%」にとどまっています。

2018年の1戸あたりの農業経営体の農業所得の全国平均は174万円(「経営形態別経営統計」より)
2018年の1戸あたりの農業経営体の農業所得の全国平均は174万円(「経営形態別経営統計」より)

さらに、「売り上げ3,000万円を達成」したからと言って、必ずしも「スター農家」とは言えません。
ここから、覚悟を決めて組織づくりに向かい、次なる「5,000万円の壁」「1億円の壁」「3億円の壁」を越えていく農家こそ、私が考える「スター農家」の定義です。

5,000万円を超えている農家は0.3%、つまり1,000人のうちわずか3人。さらに、1億円超えは0.1%、3億円超えは0.03%です。畜産業を除いて、稲作や花の農家を含めて、日本全国でわずか300軒ほどの存在です。

スター農家を目指す場合、3,000万円以上のトップ2%農家、あるいはまずは3,000万円をめざそうという1,000万円以上の農家が対象となります。それ以外の9割以上の農家にとっては関係ない話に聞こえるかもしれません。

日本に年間売上3,000万円を超えるスター農家はほんの一握りしかいない
日本に年間売上3,000万円を超えるスター農家はほんの一握りしかいない

社会はスター農家を求めてる!



しかし、今や社会はスター農家を確実に求めています。

なぜなら地方創生の司令塔となり、雇用の拡大や農業の生産性革命の要を担う重要な存在だからです。高い山を登る方法は限られていますが、先人のトライ&エラーで販路開拓・商品企画・農業経営の各分野でそのやり方は体系化できています。

地域のあこがれとなるスター農家、あなたは目指しますか?

2.農の世界の中小企業「スペシャリティー農家」理論



マーケティングの世界では、商品群を大きく3つに分けて考えます。「ラグジュアリー」「スペシャリティー」「コモディティ」の3つです。横文字難しいですね……?わかりやすく言い換えると、ラグジュアリーは「高級野菜・希少野菜・有機野菜」、スペシャリティーは「他にはない差別化された野菜」、コモディティは「普通の野菜」を意味しています。

私の考えるスター農家は、「スペシャリティー」で勝負。あれや、これやと作らずに、品目を集中させる。さつまいもならさつまいも農家、ニラならニラ農家、ミニトマトならミニトマト農家という風に、です。

差別化をはかって唯一無二の作物をつくるのが、スペシャリティー農家だ
差別化をはかって唯一無二の作物をつくるのが、スペシャリティー農家だ

そして、差別化させるための要素を備えていきます。

味や品種、栽培方法でこだわりを打ち出したり、外食やスーパーやお弁当屋で売られる中食(お惣菜)向けの業務用市場に特化したりします。具体的にいうと、ねっとり甘い「紅はるか」という高糖度さつまいもの栽培や、業務用に特化したニラの生産販売、プラム型のアイコトマトを中心に黄色やオレンジも栽培するといった具合です。

かつてさつまいもといえばホクホク系の金時が主流だったが、近年では甘みが強い紅はるかが人気
かつてさつまいもといえばホクホク系の金時が主流だったが、近年では甘みが強い紅はるかが人気

品目を特化することで、▼栽培技術の向上、▼設備投資、▼業務のマニュアル化などが進みやすくなります。その結果、収穫量が上がって、コストを下げていくことができるので、価格面での競争力も強くなるのです。

さらに、生産規模が1億円近くになってから6次産業化(加工)に取り組むことで、キャラ立ちした特定品目のスペシャリティー農家として、ブランディングが実現していきます。スター農家は、農の世界で「専門特化した中小企業」なのです!

3.地域や販売先とのしがらみを越えて「農家ファースト」へ転換



「地域が活性化すればいいんです」

「耕作放棄地をなんとかしたい」

「農福連携で障がい者福祉に貢献したい」

「あぜ道をきれいにしておかないと、地域の目がありますから……」

……わかる、わかりますよ、そうしたいですよね。でも、物事には順番があります。成長のために必要な作業であれば、やればいいと思いますが、そうでないのならば、まずは売り上げ5,000万円を超えましょう!そして、できれば1億、3億をめざしましょう。それを終えて着手してからの方が、もっと地域活性化に貢献できるのではないかと思うのです。

「JAさんに、これまで助けてもらって今の規模になったので、JAの販売の邪魔になるのは抵抗がある……」

「昔から市場では、金時系さつまいもを販売してくれた恩があるから(紅はるかには)今後も変えたくない」

……という考えも理解できますよ、確かにJAさんには長年お世話になってきました。でも、自分たちでも販売努力をした方が、JAさんだって、負けないように販売に力を入れるかもしれないですし、その方が相乗効果で農家にとってもメリットになるじゃないですか? 消費者が望むものをつくっていかなければ、長い目で見て生産者も流通業者もジリ貧になってしまうのですから、それを理解して貰えないのであれば、部会や市場出荷を辞めた方がいいのではないでしょうか?

スター農家は、「農家ファースト=第一主義」で考えます。農業経営にとって一番いい品目選定や販路開拓、ネットワークづくりを優先します。農家はこれまでいろいろなしわ寄せを食らってきました。もうそろそろ農家ファーストに転換しましょう!

以上で、第2回は終了です。

「そこそこ、儲かっているよ」「もう自分の販路はあるよ」「飯はちゃんと食えているよ」という農家もずいぶん増えてきています。ただ私が言いたいのは、「そこそこ」にとどまらず、地域の他の産業と比べて遜色なく肩を並べることができるかどうか?さらに、地域のあこがれとなるような「スター農家」をめざしていきましょうということです。

次回は私たち農業総合プロデューサーが「スター農家」をどう育てているのか?その関係に迫ります!

藤野直人


藤野直人(ふじの・なおと)/株式会社クロスエイジ代表取締役、農業総合プロデューサー◎「スター農家理論」とは、売上3,000万円を超える農家向けの農業経営理論。今春には事業の成長と効率化を実現する「スター農家クラウド」サービス紹介サイトを公開中!

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