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Editor's Eyes 農機具のプロがオススメする!注目の運搬車3選

Editor's Eyes 農機具のプロがオススメする!注目の運搬車3選

さまざまな農業用の機械があるけれど、育てている作物が違えば、使用機械も変わるもの。

家族経営の生産者なら、買い替えの機会が限られているぶん、製品選びは慎重にしたい。

YUIME Japan公式コメンテーターとして、農機具分野の悩み相談に応えてくれる東 直斗(ひがしなおと)さんは、終戦後まもなく和歌山県で創業した藤原農機で、全国向けに農機具の宅配レンタルサービスを展開する“農機具のプロ”。

農機具から資材、メンテナンスの方法まで、あらゆるメーカーの製品に通じる東さんがオススメする注目の農機具をご紹介する連載が始まります。

東さんがオススメする優れた運搬車
・一家に一台、誰でも使える普及品/共立のクローラー運搬車
・悪路に強い大型タイヤは畝に応じて幅を変えられる/ハラックスのアルミ台車
・ 手持ちのねこ車を簡単電動化できるアシストキット/CuboRexのE-Cat Kit

農作業の共通課題「何をするにもモノが重い!」


初めまして!藤原農機の東 直斗です。

農機具・農業資材専門の通販サイト「アグリズ」を運営しておりまして、ふだんは、全国の農家に農機具をお届けする宅配レンタルサービスという一風変わったサービスを運営しております。

YUIME読者の皆さんには、これらの相談の回答者としてお馴染みかもしれませんね!

今回、編集部から農機具選びのプロとして、一般的な農機具屋さんやメーカーさんとは少し違った視点から、イチオシの農機具を紹介してほしいというリクエストを受けて、今回の企画をスタートします。

毎月1回、多くの生産者が抱える現場での悩みを解決するための農機具を取り上げ、さまざまな視点でご紹介していこうと思います。

連載1回目は、どんな農機具をテーマにしようかと思いを巡らせていましたが、最初はやはり「運搬用品」にしようと思います。

藤原農機がある和歌山県は、紀州南高梅とみかんの産地としても知られ、秋から春にかけてのこの季節は、紀伊半島に広がる山々は、黄色いみかんで彩られ、生産者の皆さんは日々、傾斜地で収穫作業に努めます。

傾斜地に広がるみかん畑
傾斜地に広がるみかん畑
生産者の皆さんと、作業上で何が最も大変ですか?という話をしていて、最もよく聞く言葉が、「とにかく、何をするにもモノが重い!」という悩み。

つまり、言い換えると「持ち上げたり、運んだりするのが大変なんだよ!」ということでもありますよ。

新しい年を迎えるにあたって、今回は農作業の永遠のテーマ「運搬」にスポットあてて、オススメしたい農機具をご紹介していきます。気になったら、まずは一度お試ししてみてくださいね!

コスパ最強!誰でも使えるエンジン式動力運搬車
共立「クローラー運搬車 KCGJ801」


共立KCGJ801/やまびこジャパン
共立クローラー運搬車「KCGJ801」/やまびこジャパン

「農家あるある」のひとつとして、農業仲間や知り合いとはちょっと変わった道具や機械を選びたいという気持ちがありますよね?

茶の湯で知られる千利休が詠んだ和歌に、「守破離(しゅはり)」という言葉がありますが、これは芸事を極めるためには、「守(師匠の教えや流派の型を守る)」「破(他の教えを学び、良いものを取り入れて心技を発展する)」「離(流派から離れて、新しいものを創造する)」という意味で、私の好きな考え方です。

ここではまず、基本を押さえて、定番中の定番であるエンジン式動力運搬車をご紹介しましょう。

「動力運搬車」や「クローラー運搬車」と呼ばれる、昔から定番の農業機械ですが、仕組みはいたってシンプル。

汎用性が高いガソリンエンジンを搭載しているこの運搬車は、ミッションやVベルトを駆動すると、キャタピラ部分にあたるクローラーを回転させながら、急傾斜や不整地を力強く進んでいきます。まさに一農家に一台の必需品とも言える機械ではないでしょうか?

写真のKCGJ801の荷台は固定式ですが、動力運搬車というジャンルには、油圧シリンダで荷台を傾けられる油圧ダンプや、荷台を昇降できる油圧リフト、作業者が立ち乗りできるシートつきなど、いろいろなバリエーションがあるのも魅力です。

なかでも、KCGJ801の最大の魅力は、税込希望小売価格24万7,500円という「価格」。

最大作業能力200kg、荷台にはコンテナ4個が搭載できて、20万円台で買える動力運搬車というと、かなり"コスパ”が良くて、お値打ち価格だと思います。

ただ、最大時速が3.1kmと、結構ゆっくり進むイメージになりますから、「とにかく作業を早く終わらせたい!」という生産者には少し不向きかもしれません。しかし、それを差し引いてもエンジン式のパワーがある機種が、この価格帯なのは魅力的ですよね。

共立クローラー運搬車「KCGJ801」/やまびこジャパン
サイズ  
長さ147.5cm×幅63cm×高さ90cm
本体重量      105kg
最大作業能力  200kg
荷台サイズ  
長さ90〜125cm×52cm〜82cm
エンジン最大出力 2.2kW
手動式ダンプ
前進走行速度 時速3.1km
後進走行速度 時速1.5km
メーカー希望小売価格      
24万7,500円(税込)  
▼問い合わせや販売価格については最寄りのJA農協、販売店まで。
 メーカーサイト
藤原農機での購入先


タイヤ幅を変えて畑の空間を有効活用!
ハラックス「アルミ台車 楽太郎RA-200」


ハラックス「アルミ台車 楽太郎RA-200」
アルミ台車 楽太郎RA-200/ハラックス
次にご紹介するのが、手押し式のアルミ製台車「ハラックス楽太郎RA-200」です。

最近、人気がじわじわと上昇しているようで、農業用品の販売店をのぞくと、たいていこの台車が陳列されているので、気になっている読者もいるのではないでしょうか?

まるでサーカスの一輪車のような直径が大きなタイヤが特徴のアルミ製の台車です。どこが魅力かというと、何と言っても「組み立て方次第で、タイヤの幅を自在に変えられる」という点です。

これはつまり、作物を育てている圃場の畝の幅や、園地の面積に合わせて、広いところも狭いところも好きな幅で自由に走らせることができるということ。

特に露地栽培の場合は、畝をまたいで畑の上を走らせるような形になりますから、苗の植え付けから収穫まで、どんな作業にも応用できる汎用性が非常に高い台車なのです。人気の理由も納得です。

では、なぜ私がこの台車に惹かれたのかというと、ズバリ!「空間を有効活用」しているところ。

1反(10アール)の畑で作物を栽培していると、作業スペースや機械を走らせるスペースは、畝の間に限られます。

そのため、通常であれば、畝間を広げることで作業スペースを広く取って機械化を進めるか、逆に畝間を狭くして植え付けスペースを確保するかのいずれかの方法を取るしかありません。

しかし、目線を少し上に上げると、作業に使えるスペースは、地面だけでなく、空間にも広がっていますよね?

このアルミ台車は、組み立て方によってタイヤ幅を115cm〜175cmまで広げられるうえ、荷台天板までの高さや幅も調整可能ですから、作物ごとに合わせて、畝間の上空のスペースを有効に使えるのです。そんな一挙両得な台車が、このRA-200だとして、皆さんにオススメしたいのです。

アルミ台車「楽太郎RA-200」/ハラックス
サイズ荷台高  84cm〜104cm                   
タイヤ幅  115cm〜175cm    
荷台幅  
107〜167cm×長さ92cm
※組み替えによって、荷台幅をタイヤ幅より広くセットできる
本体重量       21.6kg
積載重量   150kg
メーカー希望販売価格      
13万680円(税込)  
▼商品の問い合わせ先や購入先は、最寄りのJA農協、種苗店、農機具店、農業資材販売店まで
藤原農機での購入先 

手持ちの一輪車をかんたん電動化
ねこ車電動化キット「E-Cat Kit」


E-Cat Kit/CuboRex
E-Cat Kit/CuboRex
キットの内容
E-Cat Kitの内容
最後にご紹介するのが、最近テレビなどのメディアでも取り上げることが多くなってきた「ねこ車電動化キット E-Cat Kit」です。

今まで紹介した運搬車とは少し毛色が変わりまして、なんとこのキット、手持ちの一輪車などのタイヤを交換することで、今お使いの台車をバッテリーで動く電動台車にすぐに早変わりさせることができるのです。


商品の詳しい動作は上記の動画を見ていただければ、おわかりいただけると思いますが、なぜこの機械が優れていると私が感じたのかというと、先程のアルミ台車と同様に「現場に合わせて組み換え自由」という点です。

組み換え自由ということは、苗や収穫物の運搬に使ってもいいし、畑の石取りに使ってもいいし、ゴミ収集に使ってもいいし、アイデアひとつで農作業以外でも色々な現場で使うことができますよね。

しかも、最大時速が13kmと、スピードも早いので大きな機械でゆっくり運ぶよりもトータルの時間も短縮できますし、電動アシスト自転車のような感覚で使えるので、作業者さんが体力に自信のある方であれば、急傾斜や不整地でもどんどん現場を突き進んでいくことも可能です。

「現場で使えるガチなレゴ」というのは製造元のCuboRex寺嶋瑞仁社長がよく仰る言葉ですが、従来の農機具は「ひとつの作業につき、ひとつの機械」というのが常識だったのではないかなと思います。

E-Cat Kit/CuboRex
セット内容:モーター内蔵ホイール、リチウムバッテリー、充電器、コントローラー、コントローラーバッグ、アクセルレバー&ディスプレイ
メーカー希望小売価格
15万2,900円(税込)
商品の問い合わせは、最寄りのJAか、オンラインショップ
藤原農機でのレンタル


農機具は高い!とよく言われるのですが、現場に合わせて色々な機械があるということは、実は機械の汎用化があまり進んでいないという見方もできますし、「ひとつの機械を、複数の作業で使おうと工夫してみる」、実はそれだけで、農作業の効率化とコストダウンができるのかもしれませんね。


以上、「運搬を制するものは農機具を制する! 農機具レンタルのプロがおすすめする農家向け運搬車3選!」ということで、ちょっと変わった視点からオススメする農機具の紹介になりました。次回をお楽しみに!

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