今さら聞けないGAP認証 取得のメリットとは?
YUIME Japan編集部 / 2021.09.01
GAP認証を迷っている農家は、取得にあたって、コスト面や管理面で負担が増えることを心配している人が少なくありません。農業経営を「見える化」することで、どんなメリットがあるのか?日本GAP協会では「事故が減って、販路が拡大し、社会貢献につながる」と話しています。
ポイント
・GAPで事故が減る
・安心雇用
・なぜ今なのか?
GAPのメリットとは?
前回、前々回の連載でも触れましたが、最終回はGAP認証を取得するメリットについて具体的にお話しします。
(1) メリット「管理が改善 事故も減少」
GAP取得のメリットは、第一に農場管理が改善され、農作業中の事故が減ることです。
例えば、あなたの農場では農薬や肥料などをどのように管理されていますか?
生産資材は、必要な時期に適切な量を使えるように計画的に購入することで、ムダな在庫を持つ必要がなくなり、ひいては生産コストを下げることもできます。
使用のたびに、いつ、どのくらいの量を使ったかを記録に残すことで、残留農薬検査の計画づくりに役立つし、農薬管理を担当する従業員の責任感や自主性の向上につながったと報告している農家も少なくありません。
一方、GAPの導入によって農作業事故の発生もおさえることができます。現在でも、年間およそ300人近い方が農作業中の事故で死亡していますから、事故を無くすことが優先です。
(2)メリット「SDGsへの貢献」
GAP取得の第二のメリットは、環境への影響が少ない農業のやり方を追求することで、社会に貢献できます。
GAP認証を取得した農場では、前述した農薬・肥料の適切な使用はもちろん、周辺環境への配慮、機械の燃料の管理などが厳しく求められています。
環境面だけではなく、従業員の労働安全はもとより、技能実習生や男女平等など、人権や福祉への配慮もカバーしています。さらに畜産分野では、家畜が生まれてから死を迎えるまでの間、快適性に配慮した飼育方法を行うこと(アニマルウェルフェア)についても、積極的な取り組みを進めています。
GAPとは、SDGsの目的である持続可能な社会を農業において実現するための、あらゆる条件を満たした取り組みだと言っても過言ではありません。
GAP認証は「信頼できる雇用主」の目印
これから話すことは、当WEBサイトを運営しているYUIMEのような人材派遣会社のサービスにも関係してきます。今後、雇用先の農場が、GAP認証を取得しているかどうかは、サービスを受けるうえで大きな違いをもたらすからです。
ASIAGAP/JGAPの場合、「人権・福祉」が重要なポイントになっていて、特にASIAGAPではこのような賃金台帳などを活用して、きちんと雇用管理を行なっているかどうかのチェックが求められています。
労働力の適切な確保(労働者の名簿があること、外国人労働者を採用する場合、在留可能かどうか確認していること)をはじめ、強制労働の禁止、使用者と労働者のコミュニケーションの実施(使用者と労働者の間での意見交換、交渉権の確保)、差別の禁止などが定められています。
農林水産省もGAPを推進