若者に「職業としての農業の魅力」を知ってもらおうと、YUIMEを含む企業7社と農林水産省はこの春、「農業の魅力発信コンソーシアム」を発足しました。3月23日と28日には、千葉県で、首都圏に通う大学生が農家の作業を手伝う実体験イベントが開かれました。
農業の魅力発信コンソーシアムとは?
農業界では現在、高齢化で農業人口が減少する一方、地方では耕作放棄地や鳥獣害による被害が増加するなど、将来の食糧生産体制に対するさまざまな不安が高まっています。
農水省は民間企業と連携して、これまで農業に縁がなかった人たちが、農業に関心を持つきっかけに結びつけるため、実際に農業現場で活躍している農家の姿やライフスタイルの紹介を通じて、農業の魅力を発信するコンソーシアムを設立しました。
参加する企業は、産直通販サイト「食べチョク」を運営するビビッドガーデンや、地域の仕事を手伝う旅の形を提案するおてつたび、学生や転職者向けに就職専門サイトを運営するマイナビなどに、YUIMEを加えた7社です。
元商社マンが農家になるまで
現在は元教員の妻と子供たち3人に囲まれて、社員2人と一緒に葉物野菜やネギ、じゃがいも、カブ、にんじんなど、少量多品目栽培でさまざまな野菜を生産。1年を通じて約50品目150品種を生産。農協は通さず、季節ごとに旬の野菜を詰め合わせた野菜セットを消費者に送り届ける直販サービスを展開しています。
農業のために何ができるか?考えるきっかけ
おてつたびと、食べチョクが合同で企画した28日の体験イベント「食べチョクおてつたび」では、JR成田線の線路脇に広がる畑にたてたビニールハウスで、大学生3人が茎ブロッコリーの収穫やネギの種まき、収穫した野菜の箱詰めや出荷準備までを体験。
忙しなく手を動かしながら、これからやる作業にはどんな意味があるのかを丁寧に説明する香取さん。両手には軍手ではなく、工場などで使われている青いビニール手袋をはめていて、キレイそのもの。
「僕の手は農家らしくないね、とよく指摘されます。お客さんの口に入る食べ物を扱う仕事ですから、汚れがつかないよう、食品用のゴム手袋を選んでいます」。
その後も、購入者の元に届いたときの印象を考えて、茎の根元をまっすぐに切ったり、発送用ダンボールの梱包方法など、細部へのこだわりを話してくれました。
「将来は農家と消費者をつなぐ架け橋になりたい。1次産業だけでなく、2次、3次産業も一緒に考えるべきだと思います。4月からは食品加工の勉強を始めようと思っています」と佐々木さん。
また、早稲田大学でまちづくりに関する研究やサークル活動をしている和久津寛人さんは、今回で2度目の農業体験。「農産物の直売所やマルシェを活性化させる方法を考えるうえで、香取さんのような農家の声を直接聞ける機会は貴重です。将来は、農業を通じたまちづくりや都市開発に貢献したい」などと話していました。
農業が憧れの職業になるために
「農業には“キツイ、汚い、稼げない”などというイメージが持たれていますが、僕にとっては、商社マンだった頃の方がよほど大変でした。今日参加してくれた学生のように、若者は、ふだんから社会問題やSDGsなどのニュースに敏感で、意識が高い。コロナ禍で体験の場が減っている今、若い人たちに農業の現場を見てもらって、畑に足を運んでもらう機会を通じて、魅力を発信し続ければ、農業が憧れの仕事になる日も近いと思います!」
農業に出会える場所
「都市近郊型の農家は、地方の大規模農場のように、まとまった広さの農地は持てませんが、生産現場と消費者や地域社会との距離が近いというメリットを活かした、農業のやり方があると思います。多くの人が農業に出会える場所として、人生を豊かにする野菜を作っていきたいです」。
前向きな若手農家がロールモデルに
今回、体験農業を企画した農業の魅力発信コンソーシアムでは、香取さんのように、常に新しいことに挑戦し、前向きな経営を続けている若手農家を「ロールモデル」としてリストアップ。
農業にイキイキと取り組む彼らの姿やライフスタイルを、イベントやメディア、SNSを通じて紹介し、交流する場を創出することで、若者が農業を魅力ある職業だと実感できる機会を増やしていこうとしています。
去る3月5日には、食べられるバラの栽培・加工で注目を集めるROSE LABOや、農福連携を推し進める百生一輝などの農家4人が登壇するトークイベントが開かれたばかり。農家を訪れて作業を体験する「食べチョクおてつたび」は、2022年4月以降も1年を通じて、全国で展開する予定で、今後は日帰りだけでなく住み込みでも行われます。
コンソーシアムの一員であるYUIMEでは当サイトを通じて、農業の魅力を広めるためのさまざまな取り組みを応援していきます。