コラム

【稼げる農家「スター農家」になるには?④】農業の働き方改革

クロスエイジと農家

2019年の法律施行以来、農業にも「働き方改革」の波が押し寄せてきている! 年間売上3,000万円以上を目指す農業法人であれば、働きやすく、社員と共に成長できる環境を作らなければならない。多くのスター農家を輩出してきた藤野直人さんが答えます!

ポイント
・適切な採用とは?
・不満のない給与水準
・働きがいと働きやすさのバランス

どうも、農業総合プロデューサーの藤野です。今回もさっそくまいりましょう!
「スター農家理論」の連載4回目は「社員の求める働きがいと働きやすさ」について考えます。

はじめは「成長」、そののち「給料」!……なんか、韻を踏んでいますね(笑)。

農業の働き方改革とは?

今回お伝えするスター農家理論は
・「オン・ボーディングプログラム」理論
・「イコールorベター」理論
・「ハーズバーグ」理論の3つです。

なぜかすべてカタカナですが、順番に説明していきますのでご安心を!

1.採用〜定着〜右腕人材になるまで
「オン・ボーディングプログラム」理論

オン・ボーディングというのは、もともとは、飛行機に乗り込むとか、何か乗り物に乗り込むといった意味です。あなたの組織を乗り物だととらえたときに、うまく乗り込む、そして立派な乗組員に育っていく、将来は右腕=幹部になる。……そのための「採用・配置・評価・教育の一連の計画」を「オン・ボーディングプログラム」と言います。

オン・ボーディング

社員の採用から成長までの過程をオン・ボーディングプログラムという

ここでのポイントは「成長」です。社員を雇うならば、「成長できる職場」でないといけません。農業は、毎日、毎月の作業が年単位で繰り返していく単調な仕事です。

しかも肉体労働が中心ですから、生半可な覚悟では長続きしません。現場での作業は重労働ですが、これも将来的に農場長になるための実務を習得する欠かせないステップとして、とらえましょう。社員と雇用主が同じ価値観を持って働くことが成長につながります。

また、人を雇用する際には、作業の内容別に順序をつけることも大切です。「収穫」や「選別・出荷」の作業には、正社員より先に、アルバイトやシルバー人材、技能実習生を雇用することをお勧めしています。

パート従業員と正社員の区別

パートやアルバイト従業員に任せる「作業」と、正社員にやってほしい「仕事」を区別する意味は何でしょうか? 正社員には、段取りや肥培管理、防除の方法のように、日ごろから圃場をよく観察し、経験やスキルを蓄積してもらうことで、成長を感じてもらいたいからです。

また、求人先についても、身内や縁故採用ならば別ですが、一般的な労働市場で求人する場合は、年収3,000万円を越えてからでも遅くはありません。

正社員は前述どおり、パートやシルバー人材、技能実習生がすでに揃った状態で雇用します。就労年数が増えるにしたがって、社員に習得させる技術目標を高めると同時に、仕事の範囲を広げたり、アルバイトを効率よく動かすことを考えさせたり、先進地の視察に同行させることなどを通じて、将来の幹部候補を育てている自覚を持ってもらいます。つまり、社員が成長する環境を用意するのです。

2.不満が生じない給与水準は?
「イコールorベター」理論

雇用主は、社員に対して「成長目標=“働きがい”」を示すとともに、職場に定着してもらうための“働きやすさ”を提供する必要があります。それがズバリ「給与」です。

結論から言うと、その地域の市役所や町役場の公務員の給与、あるいは農協職員の給与をひとつの基準にするとよいでしょう。賞与(ボーナス)を除いた年代ごとの平均給与をベースとし、業績が良ければ賞与を出すと、働く意欲(モチベーション)がさらに高まります。

ネットで検索するとエリアごとの情報も見つかるので、参考にしてみてください。

ここで言う「イコールorベター」は、「同等か、それよりも良い」という意味です。会社のレベルに応じて、「県庁職員と同じにする」とか、「銀行マンと同じにする」とか、「地域の平均年収+100万円」などというように比較対象を変えて示すのも良いでしょう!

3.働きがいと働きやすさのバランス
「ハーズバーグ」理論

働く人が活躍したり、定着する職場というのは、“働きがい”と“働きやすさ”のバランスがとれた環境です。

「ハーズバーグの2要因論」とは、アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱した理論で、「仕事上、どんなことに満足(幸福)を感じたか?」「不満(不幸)を感じたか?」を調べた結果、満足を感じる要因と、不満を感じる要因はそれぞれ別のものだとする考え方です。一般に「満足度」と言われますが、ぜひ頭に入れておいていただきたいものです。具体的に説明しましょう!

働きがいと働きやすさのバランス

理想の職場は働きがいと働きやすさのバランスがとれている

“働きがい(動機づけ要因)”は、あるとモチベーションが高まります。やる気が出てきます。
・目標の達成
・社長や他者からの評価
・仕事への満足感
・責任を与えられる
・昇進する
・成長実感

“働きやすさ(衛生要因)”は、あってもモチベーションは高まりません。でも、ないと不満がつのります。
・明確な経営方針
・適切なマネジメント(ほったらかしでない)
・良好な対人関係
・労働条件
・給与待遇
・福利厚生

どちらかだけではだめなのです。働きがいばかり高い会社というのは「人材輩出」会社となって、育っても育っても人が辞めていきます。働きやすさだけが高い会社は「ぬるま湯」会社となって、人の入れ替わりもないけれど、成長もしません。どちらもなければ、ただの「ブラック企業」です。

どちらのバランスも取れた企業というのが、「ホワイト企業」と呼ばれていきます。いきなりは無理かもしれませんが、まずは成長や仕事への満足感で引っ張り、徐々に給与待遇や適切な監督を行っていくというのがよいのではないでしょうか?

筆者が代表をつとめるクロスエイジ社内。全員が農業総合プロデューサーだ

筆者が代表をつとめるクロスエイジ社内。全員が農業総合プロデューサーだ

以上で、第4回は終了です。
今回のお話は、農業界というよりも一般論に近いかもしれません。ですが、組織作りの基礎中の基礎ですので、スター農家を目指す皆さまにぜひお伝えしたい内容でした。

機会があれば、いつか「ハーズバーグの2要因論によると……」とか、「おたくのオン・ボーディングプログラム、どうなってんの?」などと、農家同士の集まりで言ってみてください。多分、ドン引きされますよ(笑)!
藤野直人

藤野直人(ふじの・なおと)/株式会社クロスエイジ代表取締役、農業総合プロデューサー◎「スター農家理論」とは、売上3,000万円を超える農家向けの農業経営理論。今春には、事業の成長と効率化を実現する「スター農家クラウド」サービス紹介サイトを公開予定。

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