コラム

【稼げる「スター農家」になるには?③】農業総合プロデューサーの仕事

農業総合プロデュース

農家が稼げるようになれば、農業全体のイメージがアップし、若者が集まる仕事になるとして、「スター農家」を次々に生み出してきたクロスエイジの藤野直人さん。連載第3回目は彼ら農業総合プロデューサーの仕事をご紹介します。

ポイント
・農家のプロデュースは、アイドルプロデュースと同じ
・3つの側面から付加価値をつけよう
・消費者目線をあわせもつ農家の味方

どうも、農業総合プロデューサーの藤野です。今回もさっそくまいりましょう!
「スター農家理論」第3回目は「農家と農業総合プロデューサーの関係」についてです。

プロデューサーってあやしい!?

今回お伝えする理論は、
・「小室哲哉」理論
・「プロデュース=付加価値」理論
・「消費者目線を持った農家の味方」理論の3つです。順番に説明していきましょう!

1.潤う業界にはプロデューサーの存在が必要=「小室哲哉」理論

世代が出ますね(笑)。個人的に音楽プロデューサーと言えば、はしりが安室ちゃんをプロデュースした小室哲哉さんで、その後はつんくさんや秋元康さんです。

農業界に限らず、日本人は汗水たらして労働する人が偉い、コンサルタントなどと聞けば「コン、去るたんと」と言って頭をコツンと叩きながら、どこかに行ってしまう人くらいに思っている人が多いのではないでしょうか?

私が創業した2005年前後、農業界や青果流通業界で感じたのは、「汗水たらして働く人はたくさんいる。それなのに全体として潤っていないのはなぜだろう」という疑問でした。

農業界には汗水垂らして働く人がたくさんいるが

農業界には汗水垂らして働く勤勉な人が多いが、全体として潤ってない(画像はイメージ)

音楽業界のような潤っている業界には、歌手やアイドルだけでなく、プロデュースする人がいます。ですから、農業=魅力ある産業、地域のあこがれの仕事にするためには、「農業総合プロデューサー」という存在が知られるようになり、活躍しながら業界全体を盛り上げている……そういう世界を作り上げることが必要だと思ったのです。

2.単なるブローカーとの違い=「プロデュース=付加価値」理論

音楽プロデューサーとはどんな仕事か? それは、曲を作る、販売戦略をたててプロモーションを行い、アイドルそのものをプロデュースする仕事です。

これを農業総合プロデューサーに置き換えると、商品を作る、販路を開拓、農業経営を支援するということになります。

「……つまり、ブローカーでしょ?」と指摘されることはあります。そのたびに「はいそうです、ブローカーの藤野です!」と冗談で返すこともありますが、ブローカーという語感には警戒されるおそれがあるし、機能の違いが正確に伝わらないと思っています。

私が考える農業総合プロデューサーの機能は、付加価値をつけるということです。プロデュース=付加価値なのです。

なので、品目の絞り込みや新品種の提案、パッケージやネーミングなどを通じた商品化、1次加工や6次化商品の開発が「商品プロデュース」にあたります。

カットネギ 

「ネギを切るのが面倒」消費者ニーズを汲み取った付加価値をつけたカットネギ

そして、エリアとターゲットを定め、競合対策や生産・流通のコスト分析を行い、売れて利益の出る価格設定をしていきます。実際に顧客リストをつくって営業したり、商談やインターネットを介したWebマーケティングを展開していきます。これが「流通プロデュース」

さらには、売れる商品をもっと売るための生産規模の拡大や、それに伴った中期経営計画の策定、組織図や役割分担といった組織実行体制の構築、スター農家クラウドといったシステムを駆使した経営の見える化、会議の運用などは、「生産者プロデュース」になります。

3つの観点から総合的に農家をプロデュースする、付加価値をつける、その付加価値で得た収益を農家と分かち合う、それが農業総合プロデューサーです。

クロスエイジ社内。農家に代わって顧客リストの管理や営業、経営改善のための道を探る

クロスエイジ社内。農家に代わって顧客リストの管理や営業、経営改善のための道を探る

3.真の顧客は農家、「消費者目線を持った農家の味方」理論

農業や青果流通業界においては、基本的に3つの立ち位置しかありません。生産者サイド、消費者サイド、そして中間業者です。

農業総合プロデューサーはこのうち「中間業者」にあたります。農業をプロデュースするうえでは、消費者ニーズよりも、生産者が良いと思ったものを優先させる「プロダクトアウト」的な商売となります。

農業は、地域の気候条件や土壌によって栽培できるものが限られていますから、収穫回数が限られた一毛作や、数回のみの場合、作っているものを簡単に変更できないからです。

プロダクトアウトに対して、「マーケットイン」という考え方もあります。これは、消費者ニーズ、バイヤー目線で、買い手の視点に立った生産や販売提案を行う手法です。もちろん重要ですが、農業においてはプロダクトアウト的な商売にならざるを得ない背景があるのです。

ですから、農業総合プロデューサーの基本はプロダクトアウト、そこにできるだけマーケットインの要素を加えようと、あの手・この手を尽くしていきます。

① まずは目の前にあるモノを、売り方を工夫して販売
② バイヤーや消費者からの信頼を得て、「こんなものが欲しい」「あれを探して」に応える
③ 生産者が増え、販路も広がったら、両方の期待に応えるような「オリジナル商品」を開発
④ 供給不足にならないように、生産サイドの組織づくりに着手
⑤ ①〜④の段階を経ると、世の中にはスペシャルな農産物があふれ、それを作るスター農家が誕生し、傍らには私たち農業総合プロデューサーがいる構図が完成するのです。

農業総合プロデューサー、農業総合プロデュース企業は、こんなプロセスを経て発展していきます。視点は一貫して農家の味方ですが、消費者目線も合わせ持った農家の味方なのです。

以上で、第3回は終了です。

農業総合プロデューサーという仕事は、しばしば「それで食っていけるなら、私もやりたい」という目で見られます。

1次産業の活性化や地方創生に携わっていきたい気持ちがあるけれど、それは農協や市場、行政の仕事、あるいはNPOや第三セクターの仕事だと思っている人が多いのかもしれませんが、そういった分野こそ、私たちの仕事です。新卒でもガッツリ稼ぐプロデューサーがいたり、農業総合プロデュース企業として上場したりすると、農業総合プロデューサーに対する社会の目が変わるきっかけになるかもしれません。私はそれを目指します!

藤野直人さん藤野直人(ふじの・なおと)/株式会社クロスエイジ代表取締役、農業総合プロデューサー◎「スター農家理論」とは、売上3,000万円を超える農家向けの農業経営理論。今春には、事業の成長と効率化を実現する「スター農家クラウド」サービス紹介サイトを公開予定。

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【稼げる「スター農家」になるには?】これまでの連載
第1回 コロナ時代は逆転のチャンス!リスクに負けない経営を
第2回 現状に満足せず 上をめざそう

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