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きゅうり、トマト、アスパラガスなどが採れすぎて「豊作貧乏」。解決法があったら教えてほしい

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きゅうり、トマト、アスパラガスなどが採れすぎて「豊作貧乏」。解決法があったら教えてほしい

新潟で農業に従事している50代です。「豊作貧乏」に悩んでいます。育てた野菜(きゅうり、トマト、アスパラガスなど)が採れすぎて安く卸すしかなく、人件費などの経費の方が売上高よりも高くついてしまいました。

豊作なのは嬉しいことだし、野菜を買ってくれるお客さんの食生活に貢献できてやりがいも感じるのですが、この状態が今後も続くようなら畑を貸すか売りに出した方が家計のためになるのではないか?とも考えてしまいます。

また、なるべく有機栽培にこだわっているのも、費用が高くつく要因のひとつです。長い目で見て農家をずっと続けていくには、何がベストなのでしょうか?

農薬をバンバン使って見た目の良い作物を生産する方向に向かった方がよいのでしょうか?それとも、ほかの解決法があるのでしょうか?つくればつくっただけ損をする、という現在の状況をなんとかしたいです。
(新潟県・斉藤さん/仮名・50代)

西田栄喜

風来 代表

小規模&多品目をつくる「百姓的経営」に移行してみては

まずは自身の畑の平均収穫量を調べ、その量で、自身が思う価格で売れているのか計算してみましょう(基本的に有機栽培は1.2倍までしか高く売れないと言われています)。その合計金額がもし、食べていくのに足りない金額だとしたら、最初から破綻していますよね。

有機栽培は、農薬や化学肥料を使用する従来型の栽培の約半分しか獲れません。その収穫量の差をどう埋めるのか計画することも必要です。

その上で、「売れる量を効率よく卸す」というのを意識してみてはいかがでしょうか。ただ作るのではなく、どの野菜をどれくらい作るのかを考えてみてください。また、品目と収穫量のバランスを考える必要はありますが、多くの品目をつくることで、利益をあげることもできます。

相談者さんはきゅうりやトマト、アスパラなど夏の実野菜を中心に栽培されているようですが、玉ねぎ、ジャガイモ、にんじん、かぼちゃ、さつまいも、長ネギ、といった品目も入れるのをおすすめします。

なぜなら、無農薬で育てやすい、需要がある、収穫したあと日持ちがするからです。日持ちも資産だと考えると、保存しておいて、後に他の野菜と組み合わせて野菜セットにすることもできます。少量多品目の分野は、国の支援は少ないので、期待しない方が良いでしょう。

私の場合は、直販でお客さんと直接つながり、経費の半分を占めている配送料を抑えることで、小規模の取引きでも売り上げを出しています。その小さな積み重ねで利益を出してきました。

私の考え方は、小さい農業で、百の仕事をする「百姓的経営」です。漬物や加工品も販売しています。「農家だから農業だけで食べていく」という固定概念を捨てるのも、ひとつの考え方だと思います。

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村山邦彦

伊賀ベジタブルファーム株式会社

これからは「よいもの」を作ることは大前提になる時代。開き直りも必要です

農業の世界、とりわけ野菜では、よほど突き抜けたレベルに達しない限り、なかなか採算が取れないというのが現状ですね。この傾向はこれからますます強くなると思われます。事業体という観点から言えば、地域自給的な農業から大規模化、専門化へと変化の流れは着実に進んでいます。

地域の直売所では、趣味的な菜園で原価度外視で作られた野菜が販売されていたりもしますが、全国規模で販売を行っているような 生産者は何十年(あるいは何世代)もかけて効率的な生産技術を身に着け、経費削減に取り組んできているので、そう簡単に太刀打ちできないのが現実です。

単純に農薬をバンバン使ったところで、その辺りの価格構造はあまり変わらないと思います。

例えば自動車であれば、誰もが気軽に製造して売れる、というような発想にはなりませんよね。それはその道のプロが技術を磨き続けて切磋琢磨を繰り返す中でトップレベルを維持しているからです。

これからの時代、農業で稼いでいくためには、自分の技術やセンスを磨いて「よいもの」を作ることは大前提。

そのうえで、どういう人が自分の商品を求めていて、その人に自分の存在を知ってもらうにはどうしたらいいか、その人に確実に実際に商品を届けるには何が必要か、自分がちゃんと利益を取るにはどんな値付けをする必要があるか、そうしたことをしっかり考える「マーケティング」のスキルが求められるようになっています。

「ただ野菜をつくる」というのではなく、一度立ち止まって、自分が「事業を経営している」という視点から、ご自身の農業の在り方をじっくり見つめ直す機会をつくってみたらいかがでしょうか?

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