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しいたけの原木栽培のほだ木を作りたい。組み方を教えて

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しいたけの原木栽培のほだ木を作りたい。組み方を教えて

果樹農家をしていますが、新しく原木しいたけの生産を始めました。

林内で伏せ込みをしていますが、原木の組み方について試行錯誤しています。

どのようなやり方があるのかもっと知りたいです。

大賀祥治

九州大学 名誉教授、中国吉林農業大学 教授

完熟ほだ木にするための木の組み方は、環境に合わせて選択しましょう

しいたけ原木栽培の「伏せ込み」とは?


良いほだ木を作るには、しいたけ菌糸が原木内に確実に活着し、十分にまん延した状態の「完熟ほだ木」にすることが重要です。

そのためには1年から2年ほど、しいたけ菌糸の培養に適した光や温湿度の管理が必要になってきます。

この管理のことを「伏せ込み」と言います。

伏せ込みには、原木にしいたけ菌糸の活着を促し、菌糸を成長させるための「仮伏せ」と、活着した菌糸を原木内にまん延させるための「本伏せ」があります。

この「仮伏せ」と「本伏せ」に適した場所と組み方の工夫を紹介していきます。


仮伏せの場所


まず、仮伏せに適した場所について説明します。

基本的に、雨が当たり、水はけの良い、暖かい木陰など、直射日光が当たらず風通しの良い場所が望ましいです。

また、散水できる設備が近くにあると、作業が楽になります。


仮伏せの組み方


仮伏せは、植菌した原木を「横積み」「立て積み」「地伏せ」にして、直射日光が当たらないように笠木(直射日光を抑える枝葉)やコモ、ムシロなど雨を通す資材で覆う、という流れで行います。

1月や2月の厳寒期は、ビニールなどで覆い保温しましょう。

仮伏せ後は十分に散水し、雨が降らなければ3、4日ごとに散水し乾燥に注意します。


1、横積み


「横積み」は枕木を2本並べて、その上に原木を横積みに並べることです。

高く積むと活着にムラが生じたり風通しが悪くなったりします。そのため、50センチ以内の高さに積みましょう。


2、立て積み


「立て積み」は元口(原木の根に近い方の切断面)を上に向け、内側に細い原木、外側に太い原木を立てて、直径3メートル以内の束にします。


3、地伏せ


過乾燥気味の原木に植菌した場合や、雨が少ない場合には「地伏せ」も有効です。

植菌後の原木を地面に一列に並べます。上を笠木で覆うことで、直射日光や乾燥を防ぎ、保温と保湿を図ります。

本伏せの場所


本伏せには、伐採跡地や管理のしやすい平地で行う「裸地伏せ」と、林内で行う「林内伏せ」があります。

いずれの場合も基本的には、水はけが良く、風通しの良い山の中腹から上部で、日当たりの良い開けた場所が理想です。


裸地伏せ


裸地伏せは、原木の伐採跡地などを利用します。

伏せ込み場所だけでなく、その周囲もできるだけ除草します。

笠木の状態に注意し、破損箇所は適宜修復します。


林内伏せ


林内伏せは、明るく開けていて、雨通りが良く風通しと水はけの良い場所をおすすめします。4月や5月の新緑期には、必要に応じて間伐や枝打ちを行い林内環境を調整しましょう。

伏せ込みの方向は、風向きを考慮して風通しの良い方向に伏せこみましょう。

本伏せについてはこちらでも詳しくご紹介しています
しいたけの原木栽培での本伏せとはどのような作業かを知りたい



本伏せの組み方


本伏せにはいくつか方法があるので、本伏せを行う周囲の環境に応じて、どの方法で行うのかを検討しましょう。
本伏せの組み方
・鳥居伏せ・・・鳥居の形状のように組みます。風通しが良く一般的な方法です。高温多湿に適しています。

・ヨロイ伏せ・・・鳥居の中に小・中径木を入れます。乾燥地に適しています。通路を広く開けて風通しを良くすることがポイントです。

・ムカデ伏せ・・・原木を「X」状に連ねて重ねていきます。作業が簡単で、過湿になりやすいところや急傾斜地など林内伏せに適しています。

・井げた(いげた)伏せ・・・風通しや排水の良い林内に向きます。井桁を模して、2本ずつ縦、横と互い違いに組みます。組みやすいですが、高さは1メートル以内とし、上下の積み替えを行いムラをなくすのがポイントです。改良型として、4〜5本ずつ組む方法も用いられています。この場合、両端に太い原木を配置して中に細い原木を入れると良いでしょう。

しいたけの原木栽培の方法については、こちらの記事をご覧ください
しいたけの原木栽培について育て方を教えてください

同じほだ木で収穫ができる回数についてはこちらをご覧ください
しいたけの原木栽培では1本のほだ木で何回収穫できますか?

このお悩みの監修者

大賀祥治

九州大学 名誉教授、中国吉林農業大学 教授

農学博士。専門は、きのこ学、森林資源学。とくに食用・薬用キノコの生理特性や生産技術、森林の木材腐朽菌および菌根菌を研究し、九州大学発ベンチャー企業「株式会社マッシュピア」「ヒマラヤンバイオ・ジャパン株式会社」の各々会長、代表も務めている。

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