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北海道で果樹農家をしています。
近所の農園がハスカップで観光や商品化に成功しているので、うちでも空いている圃場でハスカップを植えて、いずれハスカップ狩りができるくらいまでに拡大できたらと考えています。
しかし、現在栽培している作物もあるので、収穫時期が被ると人手不足にならないか心配です。
もし本格的にはじめるなら、計画を立てておきたいので、ハスカップの収穫時期について教えてください。
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前田隆昭
南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授
ハスカップの収穫時期は6月中下旬～7月中下旬です！挿し技（挿し木）で増やすのがおすすめ
ハスカップの収穫時期は？
ハスカップの収穫時期は、6月中下旬～7月中下旬の約1カ月間という短い間でしか収穫ができません（ただし、栽培地域によって収穫時期は1ヶ月程度前進します）。
そのため、1年の間で数回に分けて収穫するのは難しい品目です。
また、収穫後も実が熟すタイミングにばらつきがあり、さらに傷みやすいため、すぐに販売するか、冷凍・加工保存などをして出荷することが必須です。
上手に収穫するポイント
ハスカップを1回の収穫でできる限りたくさん収穫できるよう、栽培方法も含めたポイントを紹介します。
ハスカップの収穫は6～7月（生産地域によっては5～6月）の短い間ですが、実の熟す時期にはばらつきがあります。
ハスカップの果実の色が徐々に濃いブルーになったものから順番に手で摘み取って収穫していきましょう。
すべての実が熟し収穫が完了するまでには2～3週間かかることが想定されるので、1カ月の間に何回かに分けて収穫します。
冷凍保存する場合は、余分な水分が付いていると実が崩れやすいため洗わずに冷凍しましょう。
ハスカップの増やし方
ハスカップは1年で複数回にわけて収穫することは難しいですが、一度に栽培する量を増やせば収穫量を増やすことは可能です。
ハスカップを増やす方法には挿し木という方法があります。
具体的な挿し木の方法はこちらをご覧ください
「ハスカップの効果的な挿し木の方法を教えてほしい」
挿し木は11月頃の落葉した時期、または、2～3月の発芽前が良いでしょう。
また、挿し木のほかにも株分けという方法もあります。株分けは11～2月の時期がおすすめです。具体的な株分けの方法を紹介します。
株分けの方法
1、株分けしたい果樹の根を、傷めないようにしながら掘り起こす
2、株についた土を取り去り、株の状態を確認し株を分ける
3、すでに株が分かれている場合は手で、分かれていなければ剪定ばさみなどで切り分ける。株分けの際、古くなっている根や傷んでいる根があれば切り落とす
4、株分け後、根を乾燥させないように切り分けた株をそれぞれ土に戻す
5、切り分けた株は、各々いくらか根が切れているので、根が切れている分、地上部の枝を切る
6、各々の株にたっぷり水やりをする
安定的に収量をとる方法
ハスカップは自家結実性の低い果樹のため、ブルーベリーと同じように受粉樹となる他品種を2種類以上植え付け、人工授粉を行うことで安定して収穫量を増やせます。
ハスカップを栽培する土壌管理も大切で、弱酸性を保てるよう土にピートモス（ミズゴケやスゲなど、植物が堆積して作られたものを乾燥させた土壌改良資材）を混ぜて植え付けると良いでしょう。
肥料は毎年11月ごろに有機質肥料を与え、2月に速効性の化成肥料を与えます。
ハスカップの収量を増やす注意点
ハスカップは果樹の中でも栽培しやすく、育てやすいと言われています。
しかし、水やりや肥料だけを十分に与えさえすればたくさん収穫できるというわけではありません。
土づくりや剪定といった作業を手間をかけながら、細やかにお世話をすることも重要です。
ハスカップの性質や特徴を理解し、収穫量を増やせるよう工夫してみましょう。
収量をあげるための方法についてはこちらをご覧ください
「ハスカップの収穫量を上げたい！肥料は何がオススメ？収量アップのコツや工夫は？」
このお悩みの監修者
前田隆昭
南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授
琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。