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【世界の注目農業ニュース】米国の農産物ビジネスの7つのトレンド

2021年は「国際果実野菜年(International Year of Fruits and Vegetables 2021: IYFV 2021)」(第74回国連総会にて採決)だ。果実と野菜が「人間の栄養」「食料安全保障」「健康」「持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals / SDGs)」に果たす重要な役割について、意識啓発を行なうための貴重なチャンスとなっている。農産物ビジネスのトレンドは? 消費者が求めていることは? 米国ロサンゼルス在住のライター、藤本庸子が解説する世界の農業ニュース。

ポイント
・食料品がオンライン市場を占める割合は2025年までに20%以上に成長することが予測されている
・2021年は新しいパッケージの強い需要が生まれてくる
・消費者は目新しいレシピで料理し、健康的になるために新鮮な農産物を食べ、新しい農産物の品種や付加価値のある食べ物を試したい
・新型コロナ禍で、消費者の買い物の仕方も多様化、戦略的に新しい流通の方法を展開する必要がある

米国『農家から消費者へ オンラインで農産物を販売』

米国のプロデュース・ビジネス(Produce Business)誌の2021年2月2日付け記事(Top Seven Trends for Fresh Produce in 2021)によると、「2020年は新型コロナ禍のため未曾有の年で、農産物のサプライヤー、小売業者、消費者にとって非常に困難な年だった。しかし、2021年は新型コロナのワクチン接種の実施が行なわれることによって、通常の生活に戻れるという希望がある。プロデュース・ビジネス誌が2020年夏に行なった全米の消費者調査(Summer 2020 Breakthrough Solutions National Consumer Survey)などを基に、2021年の農産物に関するビジネストレンド7つを予測した。より新しく良い未来があると期待している」という。

1: 「オンラインで農産物を販売する」

2020年のオンライン全体の売り上げは、2019年に比べて90%以上増加したことが分かっている。食料品のオンライン売り上げも急増。2019年に食料品がオンライン市場を占める割合は3.4%だったが、2025年までに20%以上に成長することが予測されている。一方で、消費者調査では50%以上のオンライン買い物客が「農産物は品数が少ないから、オンラインでは買わない」と答えている。今後、オンライン上での農産物の種類を増やし、消費者が買い物しやすいようにすることが望ましい。

2: 「農産物のパッケージングを新しくする」

新型コロナが影響して、消費者の食品安全上の懸念により、2021年は新しいパッケージの強い需要が生まれてくる。一方で、消費者の「サスティナビリティ(持続可能性)」への関心も念頭におくことが必要だ。そのため、農産物のパッケージングに関して再考することが重要となってくる。農産物のブランディング、メッセージ、レシピ、消費者が再購入する理由、クロスセリングなども考慮することが重要だ。

3: 「農家から消費者へ直接販売する」

新型コロナ禍で、地元で栽培された農産物を求める消費者が急増している。特に、ミレニアル世代(2000年以降に成人を迎えた世代)は、地元の農家を支援しようと考えている。農家と消費者をつなぐデジタルプラットフォームを活用することによって、地元で栽培された農産物への急速に増大する需要に供給が追いつくだろう。

4: 「家庭料理を重視する消費者向けにビジネスする」

アメリカ合衆国農務省(USDA)によると、「新型コロナ前には消費者が家庭料理のために食料品を購入する割合は50%近くだった。だが、新型コロナ禍の2020年4月にその数字は66%へ上がり、8月時点でも54%だ」という。消費者は目新しいレシピで料理し、健康的になるために新鮮な農産物を食べ、新しい農産物の品種や付加価値のある食べ物を試したい。全米レストラン協会の最新調査によると、全米で17%のレストランが倒産または長期閉鎖しているという。2021年も多くの消費者の在宅勤務はしばらく続き、家庭で料理をしたり食事をしたりする消費者の傾向は増加し続けるだろう。

5: 「農産物は薬という意識のある消費者向けにビジネスする」

農産物を食べることは、健康的な食事に不可欠だと常に考えられてきたが、2020年には新型コロナの影響で、柑橘類、葉物野菜、ベリー類が他の農産物よりも特に売れ行きが良かった。2021年も同様だろう。

6: 「従来のサプライチェーンから戦略的な新しい業者へ変える」

新型コロナ禍で、消費者は実店舗で買い物する方法、カーブサイドピックアップサービス(オンラインで注文し店舗の駐車場で車に乗ったまま商品を受け取る)で商品を購入する方法、オンラインで購入し店頭で商品を受け取る方法(ボピスBOPIS / Buy Online Pickup In Storeまたはクリック&コレクト/ Click & Collect)、オンラインで購入し自宅(またはオフィス)へ商品をデリバリー(または配送)してもらう方法などがある。さまざまな方法で商品が販売されている現在、一人勝ちの販売方法はない。従って、オムニチャンネル(実店舗とオンライン販売などの情報管理システムを統一することで顧客を獲得し、機会損失を防ぐための販売戦略)の確立と戦略的な新しい業者(パートナー)探しが必要となる。

7: 「果物や野菜の新しい食べ方を消費者へ提案する」

コロナ禍で料理のアイデアにつまっていたり、自宅での食事に飽き飽きしている消費者は、果物や野菜の新しい食べ方を求めている。農産物の販売促進のカギは、消費者へ農産物の新しい食べ方、美味しい食べ方、健康的な食べ方を提案する(コミュニケーションをとる)こと。このヒントを生かしたビジネスが重要となってくる。

米国では、コロナ禍で農産物をオンラインで購入する消費者が増えている。日本でも農家から産地直送の野菜や果物を消費者が購入できるようになっている。今後、日本から米国や世界各国の食卓へ、野菜や果物が簡単に届けられる時代がやって来るかもしれない。米国のオンライン上で販売される農産物に注目したい。

文=藤本庸子(Yoko Fujimoto) ロサンゼルス在住ライター

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