コラム

【米国で人気の日本食材レポート①】高値の柿はどこから仕入れている?

近年、和食ブームが起きているアメリカ。世界的な流行の一大発信基地でもある。現地で日本食材はどのように消費されているのだろうか。ロサンゼルス在住のライター、藤本庸子さんがレポートする。

ポイント
・米国の高級スーパーで出回っている主な日本由来の青果は、大根、カイワレ大根、椎茸、カボチャ、ナス、ネギ、ショウガ、みかん、柿
・特に柿は高級品(Persimmon $7.99/lb – 454グラムが約830円)
・「Gelson’s(ゲルソンズ)」のシニアバイヤーによると、大根をはじめとするアジア風の青果はほぼ、カリフォルニア州フレズノ郡にある農家や農園から仕入れている。

米国に長年暮らしていて、外から日本という国を見ていると、「世界で最も食生活を大事に暮らしている国」と実感する。一般の米国人のように単品やインスタント食品で食事を簡単に済ませてしまうのではなく、「食卓に新鮮な野菜や果物や魚や肉が豊富に並べられ、主食とおかずをきちんと分けて食べる」というように豊かな暮らしが日本にはある。

この暮らしを支えているのが、日本の農業。筆者は、日本の農業に関わる方々をはじめ、日本の読者の方々へ海外の情報を伝えていくことで、日本の発展、特に農業の発展へ協力できると信じ、このルポを執筆していく。

筆者が住む米国ロサンゼルス(L.A.)は1年中温暖で過ごしやすい。数年の予定で演劇留学のために滞在していたが、気がつくと32年が経つ。

L.A.には冬に雨期らしい季節はあるが、12月から2月のあいだに数回まとまった雨が降るくらい。しかも雨が降っても1日中ずっと降っていることはめったになく、太陽と青空とヤシの木がトレードマーク。街の中でも木の実を齧るリスを多く見かけ、一般家庭の庭にはレモンやオレンジなどの果物が実っている木が目立ち、花は冬でもさまざまな種類が咲き、海にも山にも恵まれている。

青空にヤシの木は最高の組み合わせ(2021年1月2日筆者撮影)

温暖のため冬でも鮮やかな花が咲く(2021年1月2日筆者撮影)

しかし、そんな自然に恵まれた環境にありながら、一般のスーパーマーケットで販売されている野菜や果物の味は、日本の一般のスーパーマーケットで販売されている物と比べるとかなり味が落ちる。

日本のスーパーマーケットの野菜や果物の質と味が同じくらい良い物を手に入れることができるのは、高級スーパーマーケットの「Gelson’s(ゲルソンズ)」、オーガニック専門スーパーマーケットの「Whole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)」、日系オーガニック専門スーパーマーケットの「Nijiya Market(ニジヤ・マーケット)」くらいだ。質や味が良い分、当然、それらの値段は一般のスーパーマーケットの2倍以上はする。

美味しい野菜や果物を食べて健康で暮らしたいため、筆者は、上記の「Gelson’s(ゲルソンズ)」や「Whole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)」や「Nijiya Market(ニジヤ・マーケット)」を中心に食料買い出しを行なっている。

コロナ禍に至っては感染リスクを少なくするために、昨年3月から「Gelson’s(ゲルソンズ)」に限定し、毎月1回の食料買い出しと決めている。

そんな中、大好物の柿は今シーズンまだ食していない。なぜなら、柿は「Gelson’s(ゲルソンズ)」で1ポンド7.99ドル(454グラムが約830円)と高価な果物となっており、節約して暮らす筆者のお財布には厳しいからだ。好物のぶどうの「巨峰」は日系スーパーマーケットにしか出回っていないため、今シーズンは「巨峰」を目にもしていない。

米国で出回っている日本の野菜や果物の主なものは?

コロナ禍(昨年3月から現在まで)に筆者が高級スーパーマーケットの「Gelson’s(ゲルソンズ)」で購入している主な野菜や果物は、長持ちすること、免疫力をつけること、リーズナブルな値段を考慮して、キャベツ、ニンジン、トマト、タマネギ、ニンニク、ジャガイモ、ヤムイモ、リンゴ、タンジェリン(みかん)、マンダリン(みかん)、オレンジ、ぶどう、プラム、桃、スイカ、メロン。

カット済み袋詰めのブロッコリーとカリフラワー(電子レンジで簡単に温野菜ができるため)、冷凍のホウレン草やミックスベジタブル(サヤインゲン、ニンジン、コーンなどが入っている)も購入。イチゴは値段が高く日持ちしないため、イチゴが入った高級アイスクリーム(本物のイチゴが入っていて良質で美味しい商品)で代用。

昨年末に初めて日本の典型的な野菜である大根を購入した。なぜなら、筆者は典型的な和食をあまり好まず、しかも、日本の典型的な野菜や果物は「Gelson’s(ゲルソンズ)」であまり販売していないからだ。

コロナ禍でお正月に日本へ里帰りができなかったこともあり、あまのじゃくに「日本風の料理が食べたい。作ろう」と思いつき、店内で日本風の食材を探し回ってみた。その際、野菜の棚に大根2本を見つけ、そのうちの1本を手にとった。同店では大根を大量に仕入れていないようだった。急に餡子や黒豆も食べたくなり、主にメキシコ料理に使うブラックビーンズの缶詰めで代用した。

「Gelson’s(ゲルソンズ)」で購入した1か月分の食料
キャベツ1個2.42ドル(約252円)、トマト(オーガニック)5個7.44ドル(約774円)、タマネギ3個2.67ドル(約278円)、ニンジン1パック 907グラム 1.99ドル(約207円)、ジャガイモ3個4.41ドル(約459円)、ニンニク3個2.88ドル(約300円)、ブロッコリーのカット済み袋詰め2個5.98ドル(約622円)、メロン1個3.66ドル(約381円)、リンゴ(フジ)4個5.05ドル(約525円)、レモン4個5.16ドル(約537円)、オレンジ4個6.64ドル(約691円)、ぶどう1袋1キロ7.18ドル(約747円)
(2020年8月31日、筆者撮影)

「Gelson’s(ゲルソンズ)」で購入した1か月分の食料
キャベツ1個2.68ドル(約279円)、タマネギ4個3.50ドル(約364円)、ニンジン1パック 907グラム 1.99ドル(約207円)、ジャガイモ3個4.75ドル(約494円)、ヤムイモ4個6.40ドル(約666円)、ニンニク4個3.35ドル(約348円)、ブロッコリーとカリフラワーのカット済み袋詰め2個5.98ドル(約622円)、リンゴ(ガラ)4個2.97ドル(約309円)、薩摩みかん(タンジェリン)1袋1.2キロ8.16ドル(約849円)、ぶどう1袋920グラム10.13ドル(約1054円)
(2020年10月30日、筆者撮影)

「Gelson’s(ゲルソンズ)」で購入した1か月分の食料。同店で初めて大根を購入
キャベツ1個2.76ドル(約287円)、タマネギ2個1.73ドル(約180円)、ニンジン1パック 907グラム 1.99ドル(約207円)、ジャガイモ3個3.79ドル(約394円)、ヤムイモ3個6.40ドル(約666円)、スイートポテト2個4.38ドル(約456円)、ニンニク2個2.16ドル(約225円)、大根1本2.81ドル(約292円)、リンゴ(オーガニック・フジ)3個5.83ドル(約606円)、みかん(タンジェリン)1袋1.4キロ6.99ドル(約727円)
(2020年12月29日、筆者撮影)

さて、「Gelson’s(ゲルソンズ)」ではどのくらいの日本の典型的な野菜と果物が販売されているのか?

野菜は、
大根(Daikon Radish $1.99/lb – 454グラムが約207円)、
カイワレ大根(Kaiware Sprouts $1.99/2.2oz – 62グラムが約207円)、
椎茸(Shiitake Mushroom $11.99/lb – 454グラムが約1247円)、
カボチャ(Kabocha Squash $1.49/lb – 454グラムが約155円)、
ナス(Eggplant $2.99/lb – 454グラムが約311円または日本風の細いナスAsian Eggplant $6.99/lb – 454グラムが約727円)があり、

果物は、
みかん(Halos California Clementines $6.99/3lbs – 1.4キロが約727円、Tangerines Mineola $2.99/lb – 454グラムが約311円、Pixie Tangerine $4.99/lb – 454グラムが約519円、Tangerines Florida $1.99/lb – 454グラムが約207円、Kishu Mandarin $6.99/lb – 454グラムが約727円)、
柿(Persimmon $7.99/lb – 454グラムが約830円)があった。

同店の本社で野菜と果物担当シニアバイヤーを42年務めるJ.F.さんに訊くと、
「大根をはじめとするアジア風の野菜と果物はすべてカリフォルニア産。農作物卸売り会社の会社名は公表できないが、カリフォルニア州フレズノ郡にある農家や農園で採れた野菜や果物を仕入れている。

紀州みかんも柿も同様にフレズノ郡で採れたもの。ただし、柿はメキシコとチリからも仕入れている。今シーズン(2020年の年末まで)の柿はチリ産の方が質も味も良かったので、チリ産の柿だけを仕入れていた。

現在(2021年1月)は売り切れて店にはない。柿は毎年8月頃から秋にかけて販売している。日本産の野菜や果物は販売していない」とのことだった。

では、他の主なスーパーマーケットではどうなのか? 調べてみた。

オーガニック専門スーパーマーケットの「Whole Foods market(ホールフーズ・マーケット)」では、野菜は、
椎茸(Shiitake Mushroom $15.97/lb – 454グラムが約1661円)、
ネギ(オーガニックのGreen Onion/Scallions 1束 $1.29 – 約134円、普通のOnion Green Scallion 1束 $0.89 – 約93円)、
ショウガ(オーガニックのOrganic Ginger Root $3.99/lb – 454グラムが約415円)、
日本風の細いきゅうり(Cucumber 1 本 $0.99 – 約103円)があり、

果物は、みかん(Clementine Mandarins $4.99/3lbs – 1.4キロが約519円、Organic Mandarin Clementine $4.99/32oz – 907グラムが約519円)があった。

一般のスーパーマーケット「Ralphs(ラルフス)」では、野菜は、
椎茸(Golden Oak Shiitake Sliced Mushrooms $3.99/5oz – 142グラムが約415円)、
ネギ(オーガニックのOrganic Onion Green 1束 $1.29 – 約134円、普通のOnions Green 1束 $0.99 – 約103円)、
ショウガ(オーガニックのGinger Root 1個 $0.88 – 約92円、普通のGinger Root $1.99/lb – 454グラムが約207円)、
日本風の細いきゅうり(オーガニックのOrganic Cucumber 1本 $1.29 – 約134円、普通のCucumber 1本 $0.99 – 103円)、
ナス(Eggplant 1個 $1.99 – 約207円 )があり、

果物は、梨(Asian Pear 1個 $1.99 – 約207円)があった。

こうして見ると、日本の典型的な野菜や果物は価値が高い商品ということが分かる。

日本の細いナスは米国産の大きいナスと比較できないほど美味しい。そのため、日本風の細いナスは米国産のナスの2倍の値段がついている。きゅうりも同様だ。米国産のきゅうりは大きく太くて不味いから、美味しい日本風の細いきゅうりは高い値段がつく。日本産のナスやきゅうりを米国に輸出すれば高い価値がつくだろう。

米国で高く売れそうな日本の果物は、みかん、柿、巨峰、梨だ。紀州みかん(Kishu Mandarin)は1ポンドあたり6.99ドル(454グラムが約727円)と値段がついている。普通のみかん(タンジェリンやマンダリン)の3倍だ。柿や巨峰や梨も高く売れると予想がつく。

日本の農家や農園の生産物が米国へどんどん輸出していける時代になることを、筆者は願う。

次回は、日系オーガニック専門スーパーマーケットの「Nijiya Market(ニジヤ・マーケット)」やグロサリーストアの「Trader Joe’s(トレーダー・ジョーズ)」などを調べてみたい。

(注)円換算は1ドル104円

●Gelson’s Markets(ゲルソンズ・マーケッツ)の情報
URL:https://www.gelsons.com
本社: Encino, Los Angeles, CA(カリフォルニア州ロサンゼルス)
店舗数: 27
創業年: 1951年7月
創業者: Bernard Gelson, Eugene Gelson
親会社: Arden Group, Inc.

●Whole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)の情報
URL:https://www.wholefoodsmarket.com 
本社: Austin, TX(テキサス州オースティン)
店舗数: 500
創業年:1980年9月20日
創業者: John Mackey, Renee Hardy-Lawson, Mark Skiles, Craig Weller
親会社: Amazon.com (2017年より)

●Ralphs(ラルフス)の情報
URL:https://www.ralphs.com
本社: Compton, CA(カリフォルニア州ロサンゼルス)
店舗数:465
創業年: 1873年
創業者: George Albert Ralphs
親会社: The Kroger Co. (1998年より)

文=藤本庸子(Yoko Fujimoto) ロサンゼルス在住ライター

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