インタビュー

カンボジア人初の現場リーダー、誕生!特定技能の可能性

制度面や運用面で問題の多い技能実習制度ではなく、YUIMEでは外国人材の採用条件を2019年4月に改正入管法によって設けられた新しい在留資格「特定技能1号」に限定し、かつ、カンボジアやベトナムなど現地へ赴き直接面接することで、信頼できる人材を採用してきた。そんななか、カンボジアから来日したチャン・ナラー氏(25)が、現場での仕事ぶりが評価され、今年、YUIMEでも初となる外国人材の現場リーダーに着任した。
特定技能の今後の可能性を探るべく、「コンビニ外国人」(新潮新書)「となりの外国人」(マイナビ新書)などの著者で、日本在住の外国人の問題を取材してきたライターの芹澤健介氏を聞き手に迎え、チャン・ナラー氏に取材を行った。また、YUIMEからは農業事業 現場リーダーの神山琢光、事業統括の江城嘉一が参加し、チャン・ナラー氏の現場での様子などを紹介する。

芹澤健介(以下、芹澤):チャン・ナラーさん、まずプロフィールを教えていただけますか。

チャン・ナラー:はじめまして。カンボジアから来たチャン・ナラーと申します。日本で働こうと思ったのは、最初はお給料だったんですけど、もうひとつは、農業の経験がほしかったんです。日本で働いた経験をカンボジアに持って帰って、現地にある日本人の派遣会社で働きたいと思いました。

芹澤:現在の滞在資格は?

チャン・ナラー(以下、ナラー):今は特定技能として働いていています。1年目です。

編集者・ライターの芹澤健介氏(左)、チャンナラー(右)

芹澤:その前も日本にいらっしゃったんですか?

ナラー:特定(技能)になる前に、3年間農業の技能実習生として日本にいました。

芹澤:神山さんにうかがいます。ナラーさんの第一印象や、勤務中の様子などを教えていただけますか?

神山琢光(以下、神山):ナラーさんには、1年前に千歳空港で初めてお会いしました。日本語の語学力も確かで、かつ、礼儀正しく、謙虚さがあって、私も見習わなければいけないと、背筋が伸びるような思いをしました。

芹澤:ナラーさん、今はどんなお仕事をされていますか?

ナラー:今は北海道でブロッコリーの収穫をしています。

芹澤:冬になって北海道の農場がお休みに入ったら、その間はどのように過ごされる予定ですか?

ナラー:10月終わり頃にブロッコリーの収穫が終ったら、その後は、愛媛県にみかんの選別に行きます。みかんは11月から1月終わり頃までの3カ月間くらい。みかんが終わったら熊本でトマトの収穫をします。

芹澤:地域によって違う作物を収穫するんですね。いろいろ覚えられますね。江城さんにうかがいます。ナラーさんは特定技能ということですが、技能実習との違いはあるのでしょうか。

技能実習と特定技能の違い

江城嘉一(以下、江城):技能実習生は、農家さんの直接雇用です。なので、北海道の農家さんで採用されたとしたら、他の地域へは移動できない。特定技能は、農業に繁忙期と閑散期があることが考慮され、直接採用だけではなく、派遣会社での採用が認められている。だから、YUIMEで派遣として採用し、国内で産地間の移動ができるのが大きな違いですね。

芹澤:雇う側と雇われる側の双方にメリットがありそうですね。

江城:はい。弊社は外国人材の方が特定技能に登録する際に支援する免許ももっているので、サポートができます。最近は3年間の技能実習を終えて、そのまま特定技能に切り替えるパターンも多い。ナラーもそうでした。

芹澤:神山さん、ナラーさんと働くなかで印象的だったエピソードはありますか。

神山:彼は、カンボジアに家族を残して、日本には完全に稼ぐために来ているんですね。その大前提があって、そのうえで僕が驚いたのは、私生活面での彼の様子です。仕事が終わって、もう賃金が発生しないような場面でも、農家さんや僕たちがしている作業を率先して手伝ってくれる。とても優しくて、思いやりがあるなぁと感じました。

ナラー:そうですね、みんな忙しいから、できるだけ手伝いたいですね。

芹澤:ナラーさん、日本で働く上で難しかったことはありますか?

ナラー:初めて日本に来たときに、本当に日本語が全然わからなかった。今は日本語の試験を受けてN4(N4:基本的な日本語を理解することができるレベル)をもっていますけど、最初は日本語わからなくて、話すときに難しいと思いました。でも、がんばって日本語ができるようにならないと、仕事もできないし、みんなとも話せるようにならない。だから、がんばりました。今はちょっとしゃべれるようになった。

芹澤:神山さんから見て、現在はどうですか?

神山:言語の部分でナラーとのコミュニケーションの困ることはまったくないですね。新しい作業の説明をするときには、聞き取りやすいようにゆっくり話していることくらいです。

芹澤:ナラーさん、日本にきてうれしかったことはありますか。

ナラー:日本に来て嬉しかったことは3つあります。最初は、日本語。自分ががんばって勉強して、N4の試験で合格したときにうれしかったです。ふたつめは、最初にお給料をもらったときが、とてもうれしかった。3つめは、特定技能として日本に来て、神山さんと友達になってうれしかったです。

左から、芹澤健介、チャンナラー、神山琢光、江城嘉一

江城:ひとつ、私から補足させてください。私たちYUIMEの現場のリーダーやマネージャーが大事にしていることがあります。

ナラーは、私がカンボジアで面接して、採用してきた25人のうちの1人でした。現地で採用した25名をカンボジアの空港まで迎えに行き、みんなで一緒に飛行機に乗ったんですけど、そのときに、それぞれの家族・親戚がバスを1台借りて空港に駆けつけて、涙を流しながら見送ってくれたんですね。空港中が、この25人の親族でいっぱいになっていたわけです。それくらい彼らは一家を背負って日本に来て、技術を習得し、お金を稼いでいるわけです。そういう様子を目の当たりにしたら、この人たちになんとしても技能を身につけて帰ってもらわないといけない、とこちらにも責任感が湧いてくる。日本で働いた経験を母国で語り継ぎたくなるくらいのサポートをしようと、社内で誓い合っています。

芹澤:ナラーさんのような外国人スタッフに、江城さんはどのようなことを期待していますか?

江城:基本的には、私は国籍や県などでは区別しないようにしています。頑張った人が頑張ったぶんだけ評価される職場にしたい。農業で向き合うものは作物です。そして、作物は、頑張ったぶんだけ結果がでる。その結果をちゃんと認める会社だよ、ということを発信していきたいし、スタッフにも頑張りを期待しています。

芹澤:ナラーさん、最後に今後の目標を教えてください。

ナラー:経験がほしいです。経験を積んでカンボジアに帰って、カンボジアにある日本人の派遣会社で働きたい。そのあと、家族で会社を立ち上げて農業をして、野菜や果物をつくって全国に送りたいと思っています。

関連記事

  1. 広大な畑で作業するスタッフ
  2. みかん畑を背景に立つケン チャンナラー

ピックアップ記事

  1. いんげん
  2. 事業承継
  3. 猪

ニュース

  1. 熊本県の中央部に位置する宇城(うき)市。
  2. ヒヨコ豆と植物性代変え肉のバーガーパテ