インタビュー

大規模化への成功の秘訣は「現場」にあり!【北海道・アイケイファーム余市】

広大な畑で作業するスタッフ

世界18ケ国に60拠点を有する商社・稲畑産業は、カナダ最大規模のブルーベリー栽培業者である「Silver Valley Farms」とともに2015年にアイケイファーム余市を設立した。そして現在は、余市町で日本最大級のブルーベリー栽培面積となる20ヘクタールの土地を有し、栽培を行っている。今後はブルーベリー栽培では日本初となる機械化による自動収集を計画しており、カナダの技術も積極的に取り入れて大規模化を進めていく予定だ。そんな稲畑産業の武藤正敏氏に、現場の課題とこれからの取り組みについて、2017年より農業人材で協力を行うYUIME事業統括・江城嘉一とともに話を聞いた。

稲畑産業 武藤正敏氏

─北海道余市町のブルーベリー農場について教えてください。

武藤正敏(以下、武藤):現在、15ヘクタールの規模でブルーベリーの木は3.5万本です。2015年にアイケイファーム余市を設立し、16年の春に木を植えて、毎年規模を拡大してきています。ブルーベリーの木が若いのでまだ生産量はそこまで多くはなく、昨年は1トン、今年は3トンでした。
もともと会社の母体が稲畑産業という商社とカナダのブルーベリー農業の合弁会社なので、カナダから技術指導してもらい、現場の運営と販売は稲畑産業が力を入れてやっていく、という形でアイケイファーム余市を運営しています。
など、生産したブルーベリーは、現在は北海道内のスーパーに置いていただいていますが、将来的には関東をはじめ全国に流通させ、生産量100トン規模を目指したいなと思っています。販売方法も、今は青果の卸売業者さんを通じてスーパーに届けていますが、今後は加工業者に向けた冷凍加工品、ジャムなどの販売も考えています。

─年間のスケジュールは?

武藤:北海道なので、3月に雪がとけてからブルーベリーの木の冬囲いの縄をほどいて、5月に新しい苗木の定植や剪定作業を行います。6、7月は雑草の処理、7月下旬から8月20日くらいまでは収穫をします。この時期は本当に大変ですね。朝5時や6時から収穫を始めて暗くなるまでずっと続けます。そして雪が降り出す前の10月半ば頃から冬囲いをして、雪の重みで枝が折れないようにケアします。

―どのような方がマネジメントをしているのですか?

武藤:今、アイケイファーム余市の社長は、稲畑産業の部長が兼務しています。現場のマネジメントは、稲畑産業の出向者と地元で採用した経験者で行っています。

課長自らが現場の畑に

─江城さんにお聞きします。YUIMEから見て、稲畑産業さんはどんな特徴がありますか。

江城嘉一(以下、江城):新規参入の典型例です。新規参入には失敗事例が圧倒的に多いなかで、稲畑さんは成功している。それは、課長自らが現場にいらっしゃって作業しているのがすべてで、個人的にちゃんと畑と向き合い、そして事業責任者として働かれている。それに尽きます。きちんと畑を見ているから、着実に進まれているんですね。
あとは人材をどう確保するかが課題だと思いますが、それはYUIMEにお任せください。お会いした頃は我々もまだ始まったばかりだったので沖縄のことしかわかりませんでしたが、今は自信をもって言うことができます。お互いに信頼しあえる、本当のパートナーになってきたなと感じています。

─稲畑産業とのお付き合いは、どのように始まったのですか。

江城:稲畑産業さんとは丸3年お付き合いをしています。稲畑産業さんからご連絡をいただいたのが始まりでした。当時、YUIMEの仕事は沖縄のみだったため、台風がくる夏は農作業ができず、夏の間はどのように派遣スタッフの雇用を維持しようかと考えていたんです。そこで、武藤さんは北海道で夏だけブルーベリーの栽培をしているから、お互いに条件が合ったんですね。夏は北海道、冬は沖縄、産地間連携のきっかけをくださったのが武藤さんだった。お互いスマートにやりましょうよ、と。
農業で人材「派遣」はできないと一般的に農家さんがおっしゃいます。それなのに、なぜYUIMEの派遣が成立しているかというと、我々は社員も現場に赴き、かぼちゃの播種から参加して、どう作業したら早いか、など計画を練るんです。実現可能な計画か否かも、現場で検討する。武藤さんがまた厳しいんですよ(笑)。「生産量が少ない」など、どんどん指摘がくる。
でも、武藤さんを始め、稲畑産業さんも、本社の方々はスタッフに現場を任せっきりにしない。我々が社員も畑に行くのと同じように、稲畑産業さんも、武藤さんや課長さんもちゃんと畑に足を運んでいるんですね。現場のスタッフだけに任せていない。そういう面で我々と想いが同じで、共有できる考え方も多く、良好な関係が続いています。

人材課題を解決し、さらに大規模化へ

―武藤さんにお聞きします。海外の技術の積極的に取り入れられているとのことですが、具体的な内容を教えていただけますか。

武藤:ブルーベリーについては、大型の収穫機を導入する計画を立てています。機械を入れて生産性をあげ、大規模化することが今の目標です。カナダでは多くが数百ヘクタールという広大な土地でブルーベリーを栽培していて、ハンドピック(手摘み)もあるが、基本的には機械で収穫しています。日本は農家さんが手作業しているところがほとんどで、だから生産規模が小さい。生産性を飛躍的にのばすとなると、カナダが自動化していることを参考に、我々もそういった機械も導入して行こうかなと考えています。

―人材面での課題はありますか。

武藤:大規模化するにあたり人の確保が課題でしたが、YUIMEから派遣してもらって補充しています。弊社のなかでは正社員4名とパートさん3名で体制をくんでいるけど、ピークにはさらに15名ほど人が必要で、YUIMEから今年は8名きてもらいました。畑の雑草とりから収穫作業とあらゆる作業をしてもらい、頼りにしています。特に助かるのは、トラクターの運転のようにテクニックが必要な場面です。YUIMEのスタッフはそういう技術も持っているので、他の会社の派遣の方には任せられないような部分でも活躍してもらっています。

―江城さんにお聞きします。稲畑産業さんとのおつきあいのなかで、YUIMEとしての今後の改善点はどのようなものがありますか。

江城:ブルーベリーから始まって、かぼちゃ、ニンニク、薬草と徐々に栽培するものが増えてくると、初めはどの作物もノウハウがないのでなかなか生産性が落ち着かないことがあります。すると武藤さんから「生産量が少ない」と指摘が入ってきるので、私が現場に入ってみて状況を確かめます。何ができて、何ができなかったか、それをシーズンごとに落とし込んで、次のシーズンのためにどういう技術や知識を身につけておくかを計画する。
先ほど武藤さんからYUIMEの社員はトラクターの技術ももっていると言っていただきましたが、我々の社員2名ももとは免許もっていなかったけど、あった方が稲畑産業さんとのお仕事が進むからと言うことで取得しました。そして、冬場の北海道での仕事がないときに他の産地で練習をして、徐々に業務の適正化をしてきた。新しい作物が増えるたびに、その都度、目標値を設定して、必要な技術も習得しています。
これが可能なのは、YUIMEの派遣が1シーズン限りではなく、3年、5年と続いていくから。稲畑産業さんとはお互いに言いたいことをいい、伸ばすべきところを伸ばし合い、一緒に課題を解決しながらともに進んでいます。

―武藤さん、今後特に力をいれたいプロジェクトはありますか。

武藤:農業生産の規模拡大ももちろんですが、もう少し広い視点で見ると、弊社は余市町と包括連携協定を結んでいるので、地域創生、地方創生という枠組みから、幅広く地域に貢献していきたいと思っています。農業に限らず、生産業の幅を広げ、エネルギー関係にも取り組み、循環社会をつくろうと考えています。

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