インタビュー

産地間で連携して持続可能な農業へ【北海道グリーンパートナー】

北海道グリーンパートナーの農場

北海道グリーンパートナーは、青果物の仕入れ販売を行うと同時に、北海道内3ヶ所(とうや湖・浦幌・忠類)の自社農場で大根の栽培も行っている。どのようにして、販売、仕入れ、生産のすべてを行う特殊な運営にたどり着いたのだろうか。生産者との連携も大事にしている同社の高田清俊氏を迎え、2017年より農業人材で協力を行っているYUIME事業統括江城嘉一とともに、現在の取り組みについて話を聞いた。

北海道グリーンパートナー 高田清俊氏

─北海道グリーンパートナーさんについて教えてください。

高田清俊(以下、高田):北海道・十勝は日本のなかでも国土交通省も認める食糧基地として大々的に農業を行い、畜産も盛んな地帯です。北海道グリーンパートナーは現在、現場と販売、マネジメントあわせて30名ほどで運営しています。栽培しているのは大根が中心で、夏場の軟弱野菜と言われる葉野菜なども手がけています。

─青果卸売業者が直営農場をもつことは珍しいと思いますが、どのような利点がありますか?

高田:私はもともとJAに勤務していたのだけど、大根に魅せられてJAから飛び出しました。仲卸にいると、作物を川上から川下にただ流すだけになりがちだけど、私はそこを流れ作業にしたくなかった。「川上から川下」という表現が、自分にはどうも受け入れられなかったんですね。生産者の顔を見て、コミュニケーションをとりながら一緒に野菜を届けていきたいという思いがありました。すると、自ずと生産から仕入れ、販売までのすべてを手がけるいまの運営にたどり着いたのです。

─YUIMEの江城嘉一事業統括にお聞きします。北海道グリーンパートナーさんの事業者としての特徴を教えていただけますか。

江城:地域の名手であり、地域を代表する農家さんです。YUIMEとの組み方も上手で、我々が1シーズン限りで終わりではなく3年、5年とお付き合いを続けて共に成長していける部分をうまく活用されています。毎年の終わりに、来年は何をしたい、今年うまくいかなかったことをどう改善したい、と伝えてくださる。そして、それをきちんと次の年に実行する、ということを続けています。だからYUIMEとしても、冬場に入って北海道グリーンパートナーさんの現場でのお仕事がお休みに入った後も、高田社長がおっしゃっていた内容に応えられるように、冬場から春にかけて人材を育成します。そして、次の年の夏にまた高田社長のもとへ人材を派遣して、前の年にお約束したことを実行する、ということを続けています。

「派遣で農業はできない」

─高田社長にお聞きします。YUIMEとの付き合いが始まり、人材面でのどのような課題が克服されましたか。

高田:農業は人手が必要だけど、“派遣で農業できない”というのが我々の考え方です。とはいえ、農業は、10人いれば十分な時期と、100人ほしい繁忙期との差があって、派遣業者に頼むしかない、という事実もある。そんななかで出会ったのが、YUIMEでした。我々から見れば、YUIMEは派遣会社ではない。派遣会社の枠にはおさまりきらない、特別なものを感じています。
たとえば、外国人材にどう手伝っていただくか、という課題も、YUIMEが解決してくれました。技能実習生を農園で直接雇用することもできます。しかし、技能実習生の方の多くが、日本を知らない、言葉がわからない、という状態からスタートする。そんな条件のなかで現場で作業に入ってもらうのはハードルが高いし、仕事に慣れるまでに時間がかかってしまう。それに対して、YUIMEは、農園に派遣する外国人材を特定技能の方に限定している。特定技能の方は日本での農業をすでに3年間経験して、かつ、語学的にもN4(N4:基本的な日本語を理解できるレベル)をクリアしているから、もはや海外の人ではなく日本の人として働いていただけます。

さらに、来てくださる外国人材の方が、我々の農園の休業中も他の地域でどんどん成長してくださるんですね。というのも、たとえば技能実習生の方を農園で直接採用すると、彼らは他の農園では働くことができなくなってしまうわけですが、YUIMEで採用された特定技能の方は、派遣会社に採用されたことになっているので、産地間の移動が可能になります。そのため、我々の農地は北海道ということもあり栽培期間は年4カ月に限られているけれど、冬場には他の地域で働いてもらえる。
ということで、いま、鹿児島の大根農家さんとタッグを組んでいます。産地と産地がタッグを組んで、エンドユーザーにものをおさめていこうという新しい取り組みができるようになったんですね。外国人材の方には、冬以外の7カ月は鹿児島で大根を栽培してもらい、夏には北海道で4カ月働いていただく。鹿児島では台風がきて夏に仕事がなくなってしまうから、その間、鹿児島で採用された方に北海道に来ていただくことも可能です。特定技能の方にとっては、大根について1年中トレーニングできますし、われわれも、大根の栽培に慣れた人を繁忙期だけ派遣で採用することができるわけです。
こうした下地ができてきて、我々はいま、次のステップに進み始めています。それは、オペレーターとしての能力も兼ね備えていきたい、という新たな目標への挑戦です。そこにスマート農業も取り入れれば、さらなる大規模化をはかれるでしょう。

─江城さん、北海道グリーンパートナーさんのこうした展望をふまえ、今後、どのようにサポートしていきたいとお考えですか。

江城:高田社長は、ご自身の会社のみならず、農業全体を見渡していて、日本の農業の持続可能性について考えている方です。こういう方がいる地域はいいけど、いらっしゃらないと、このままではその地域の農業は廃れていってしまう。ですので、我々は高田社長が現場にいなくてもいい状態をつくって、高田社長には北海道以外のいろんな農家さんに会いに行き、手を組んできていただきたいなと考えています。そして、日本全体の農業を盛り立てていってほしい。それを高田社長にお願いする以上は、我々もそのビジョンを共有し、尽力していきたいと思っています。

─高田社長から最後に伝えたいことはありますか。

高田:農業については、農林水産省の直轄型の事業なども増え、今後、行政の方々と連携しながらこの産業の継承に取り組んでいく場面が多くなると思います。そういうときに、我々とYUIMEがリンクしながら、良い事業モデルを全国に広げていけたらと考えています。

関連記事

  1. 吊るされている大量のさつま芋の前に一人の男性、2人の女性
  2. 選果場のベルトを流れるみかん
  3. みかん畑を背景に立つケン チャンナラー
  4. 熊本県の中央部に位置する宇城(うき)市。
  5. YUIME 代表取締役社長、上野耕平のポートレート

ピックアップ記事

  1. いんげん
  2. 事業承継
  3. 猪

ニュース

  1. 熊本県の中央部に位置する宇城(うき)市。
  2. ヒヨコ豆と植物性代変え肉のバーガーパテ