インタビュー

名門農家に聞く「今、農家が守るべきもの、変わるべきこと」【北海道・和田農園】

和田農園は、十勝・帯広市に耕地を持つ歴史ある農園だ。「健康な土から健康な食べ物を」を理念に掲げ、何よりも土づくりを大事にしている。特に和田農園のゴボウは甘くてジューシーなことで有名で、2007年には第2回コープさっぽろ農業賞北海道知事賞を受賞。多くの学校や企業から農業見学に訪れる名門農家だ。そんな和田農園の和田政司氏に、2017年から農業人材で協力を行うYUIME代表取締役社長・上野耕平とともに話を聞いた。

和田農園 和田政司氏(左)、YUIME 上野耕平

─和田さんが栽培のなかで特に大切にしていることを教えてください。

和田政司(以下、和田):健やかな農場をつくることですね。私の農場は、去年でちょうど入植して100年になりました。今から40年ほど前、日本の医療費が47兆円以上になっているという話が出ました。その頃から、病気にならない元気な体をつくる農作物を栽培する、ということを信念の一つにしています。とはいえ、長年同じものを作っていると、土も病気になってしまう。ですから、作物を生み出すおおもとである土に栄養補給をしなきゃいけません。だから土を大切にしようというのが、我々のモットーです。

─「健康な土から健康な食べ物を」を理念にされているということでが、具体的にはどのようなことをされていますか。

和田:極力、化成肥料は使わずに、有機の肥料を主体に作物を作っています。肥料には、海藻や昆布などの海藻資材を使うこともあります。こうした肥料を畑に入れて、土の中の微生物を活性化させています。

─スタッフの方にはどんなことを期待していますか。

和田:現在、私が社長で、長男が部長を勤め、以下、12名のスタッフで運営しています。通年の派遣スタッフが9名くらいと、最盛期にはさらに15名ほどの方に応援に来ていただきながら、生産、販売、出荷までのすべてをやっております。
そのなかで、派遣で来てくださる方を含めて全員にお願いしているのは、愛情をもって作物に臨むことです。私たちの農場で作っている長芋、ゴボウ、馬鈴薯のいずれにも、「大きくなってくれよ」という心を込めて育ててほしい。
私たちの農園では、できあがった作物をまず食べるのは従業員です。どんな味になったかを確かめる。そうやって愛着を深めていく。今後も、この習慣は継続していきたいと思っています。

─上野さんにお聞きします。YUIMEと和田農園のお付き合いの始まりなどを教えていただけますか。

上野耕平(以下、上野):和田農園さんとは、3年ほど前からお付き合いさせていただいております。弊社の当時の主力事業は沖縄のサトウキビ栽培と収穫でした。サトウキビの最盛期は1月。和田農園さんがある北海道では、10月頃から雪が降り始めて11、12月はお仕事がなくて、ちょうど繁閑のムラがうまくかみ合うと言うことで、お仕事が始まりました。

─和田農園では、YUIMEとの付き合いが始まって人材の活用方法も変わったとお聞きしていますが、その内容について具体的に教えていただけますか。

和田:YUIMEより前にお願いしていた地域の派遣会社さんだと、派遣スタッフさんしか農場にいらっしゃいません。YUIMEは、派遣スタッフさんとともに社員の方も農場に来てくださって、一緒に作業します。だから、来てくださるスタッフさんに期待する内容も伝えやすいし、YUIMEさんにもイメージしていただきやすい。一緒に栽培計画を考え、人材の育成計画も立てられるんですね。
また、地域の会社から派遣されてくる方が年々高齢化していたなかで、YUIMEのスタッフさんは若くて体力があり、仕事を覚えるのが早いので、頼もしい。うちの農園にもとからいるスタッフも、YUIMEさんから来てくださる方は一緒に仕事がしやすい、と喜んでいます。

─これまで、冬季は派遣スタッフはお休みとされていましたが、今年からは年間活用にされるともお聞きしています。

和田:社員に冬場の休みをあげたいと考えたのがきっかけです。スタッフの数を増やして、うまく休みをローテーションできるような体制をつくるために、通年雇用を増やそう、と。夏の収穫期は本当に忙しいですから、せめて冬場に体を休めてほしいですし、農業以外の世界も見て学び、その内容を農業に還元してもらえたら、と期待しています。そのため、通年雇用のスタッフさんをYUIMEさんに3人ほどお願いする予定です。
こうした職場間環境の改善を考えられるようになったのも、YUIMEさんとのお付き合いがうまくいっていて、YUIMEさんのスタッフさんを数に入れた事業計画を作れているからです。

社会が変わっても、食べることは大事

─上野さんにお聞きします。新型コロナウイルスの影響はありましたか。

上野:外国からの往来がストップし、弊社の主力人材である外国人材が入国できなくなってしまったのが打撃でした。もともと、国内で派遣のご依頼をいただき、その数に合わせて外国から来ていただく予定だったので。幸い、コロナの真っ最中は日本人で人余りがおきたので、対応がうまくいきました。
10月に入ってから徐々に入国できるようになり、早速、50人程度の外国の方に来ていただけました。

─農家が守るべきものと、変わっていかなくてはいけないものは、どのようなものだとお考えですか。

和田:安心安全は当たり前で、体にいいものを栽培するための土づくりを大切にしていくことは、この先もずっと変わりません。それから、自分がつくるものに信念をもち続けないといけない。
変わらなければいけないことというのは、経済的に自立することです。国からの補助金ばかりをあてにせず、自らのちからで、あるいは地域で支え合い、皆様から信頼される農業者にならないといけない。

─こうしたお話に対して、上野さんはどのようにそこに寄与していきたいと考えていらっしゃいますか。

上野:YUIMEのスタートは人材派遣なんだけれども、農家さんとお話するうちに変わってきた部分があります。それは、目先の課題として人手が足りないということのもう一つ先に、事業継承の問題がある。そのため、我々は人材派遣から始めた、つもり働き手の確保という面でもサポートをしていたけれど、今後は、後継者を見つけること、事業継承にも取り組んでいきたいと考えています。
それからメディアでの発信ですね。和田さんが安心安全を大切に、そういった作物を作っていることを全国に広めていくお手伝いをしたいですね。

─和田さんの今後の展望をお聞かせください。

和田 社会がどんなに変わろうとも、人間は食べることが大事なことは不変です。そのための食糧の生産に、今後も真摯に取り組んでいきたいです。

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