コラム

【米国で人気の日本食材レポート③】カリフォルニアの老舗農場で人気の食材は?

近年、和食ブームが起きているアメリカ。世界的な流行の一大発信基地でもある。現地で日本食材はどのように消費・生産されているのだろうか。ロサンゼルス在住のライター、藤本庸子さんがレポートする。


【米国で人気の日本食材レポート①】高値の柿はどこから仕入れている?

【米国で人気の日本食材レポート②】日系スーパーが輸入している食材と産地はどこ?

ポイント
・日系家族が経営するカリフォルニアの老舗農場の生産物はすべて直販
・人気ベスト3は、トマト、イチゴ、ブルーベリー
・コロナ禍でオンラインショップが人気に

カリフォルニアで日本の典型的な野菜や果物を生産?

筆者が住むカリフォルニア州は、日本の国土がすっぽりはまってしまうほど広い。そのため、北(サンフランシスコ)と南(ロサンゼルス)では温度差に幅がある。しかし、地中海性気候のため、冬に一定の降雨があるが、夏は日差しが強く乾燥しており、湿気がなく、他の州に比べて年間を通して過ごしやすい。大都市のロサンゼルス(L.A.)やサンディエゴがある南カリフォルニアは、ほとんど雨が降らず、特に快適な気候が魅力となっている。

そのカリフォルニア州には、「GAFA(ガーファ)」(米国の巨大IT企業4社 – グーグル / Google、アマゾン / Amazon、フェイスブック / Facebook、アップル / Apple)のうち、3社(アマゾンだけ本社はワシントン州にある)が本社を構えており、2020年のGDP(国内総生産)の順位では、米国、中国、日本、ドイツの次にランクされ、1国のUKよりも経済規模が大きく、世界で5番目に位置している。いわゆる、世界的な規模の「経済大国」の州なのだ。

そんなカリフォルニアでは、全米で生産されている野菜や果物の80%を生産しており、「農業大国」の州ともなっている。カリフォルニアの北から南に渡って、大根、きゅうり、ナス、カボチャ、柿など、米国の大手スーパーマーケットのチェーン店ではあまり見かけない日本の典型的な野菜や果物のほとんども栽培している。

L.A.から車で南へ2時間ほどのオーシャンサイド(Oceanside)というビーチタウンに「Yasukochi Family Farms(ヤスコチ・ファミリー・ファームス)」という、1908年から代々続く、日系の家族経営の農場がある。カリフォルニア州オレンジ郡で創業し、現在はサンディエゴ郡オーシャンサイドで営んでいる。

同農場は、サンディエゴ周辺やL.A.のハリウッドやパサデナなど、南カリフォルニアの各地で開かれているファーマーズマーケットやオンラインショップで野菜や果物を販売。特に米国人の消費者にとって珍しい、日本の典型的な野菜や果物も多数生産している。

同農場のオーナーの娘、ブリアン・ヤスコチ(Brianne Yasukochi)さんに話を聞いた。

──農場で人気の野菜と果物は?

ファーマーズマーケットで人気ベスト3は、日本風のトマト、イチゴ、ブルーベリー。オンラインショップでもイチゴとブルーベリーが人気となっている。バラエティ豊かな野菜と果物の詰め合わせ(おまかせで詰めた箱)も好評。

(栽培中のイチゴ。写真はヤスコチ・ファミリー・ファームス提供)

栽培中のイチゴ。以下、写真はすべてヤスコチ・ファミリー・ファームス提供

オンラインショップのデリバリーサービスはコロナ禍で特に人気。

──それらの値段は?

日本風のトマトは3.50ドル(約364円。1ポンド / 454グラムあたり)、ブルーベリーは1パック3ドル(約312円)、ミックスベリー(ブルーベリー、ブラックベリー、ラズベリー)は10ドル(約1040円)、イチゴは3パック10ドル(約1040円)、野菜と果物の詰め合わせは普通サイズ25ドル(約2600円)と大きなサイズ35ドル(約3640円)がある。

イチゴは3パックで約1040円。

イチゴは3パックで約1040円。

農場直送だからこそ新鮮な野菜と果物。

農場直送だからこそ新鮮な野菜と果物。

──日本の典型的な農作物は?

ナス(Eggplant)1個3ドル / 約312円、カボチャ(Squash)454グラムあたり2ドル / 約208円、きゅうり(Japanese Cucumber)1本1ドル / 約104円、みかん(Tangerine)1.6キロ10ドル / 約1040円、柿(persimmon)3パック9ドル / 約936円。

(註)この他、椎茸、ネギ、サヤインゲン、サツマイモなどもある。

栽培中のきゅうり。

栽培中のきゅうり。

アメリカ風大きなナスも。

──その他の主な農作物は?

ローマトマト(Roma Tomato)454グラムあたり2ドル / 約208円、エアルームトマト(Heirloom Tomato)454グラムあたり3.50ドル / 約364円、ブロッコリー(Broccoli)454グラムあたり2ドル / 約208円、カリフラワー(Cauliflower)1株5ドル / 約520円、サラダミックス(Salad Mix)1袋2ドル / 約208円、ブルーベリー(Blueberries)1パック3ドル / 約312円、ブラックベリー(Blackberries)1パック3ドル / 約312円、ラズベリー(Raspberries)1パック3ドル / 約312円。

(註)この他、ジャガイモ、タマネギ、ニンジン、ピーマン、ビーツ、キャベツ、ロメインレタス、芽キャベツ、アスパラガス、セロリ、トウモロコシ、ズッキーニ、ニンニク、スイカ、ぶどうなどもある。

──質の良い農作物を栽培するには何が重要?

基本的なことだが、良い土地と良い土壌、適切なケア、良い気候。私たち家族は3世代に渡ってカリフォルニアで生まれ育っているので、完璧な栽培方法を完成させている。

アーティチョークやメロンなども。

──美味しい農作物を作るコツは?

良い種と良い気候とキレイな水。これが美味しさの秘密。

畑の様子。

ローカルビジネスレビューサイトの「Yelp(イェルプ)」で、「Yasukochi Family Farms(ヤスコチ・ファミリー・ファームス)」の客のレビューを見てみた。

「スーパーマーケットで購入する野菜や果物とは比べられないくらい新鮮で美味しい」「今までこんなに美味しい野菜と果物を食べたことがなかった」「季節ごとに色々な野菜や果物があるから楽しみ」「デリバリーの詰め合わせの箱には、毎週違った野菜や果物が入っていて素敵。便利な上に、新鮮で質が良くて美味しい」「スーパーマーケットでは買ったことがない野菜があって、料理することが楽しくなった」と大絶賛の声が多い。

同農場のデリバリーサービスは、サンディエゴ郡周辺限定となっているため、筆者はL.A.のハリウッドやパサデナで開かれているファーマーズマーケットへ行かない限り、同農場の農作物を味わうことはできない。コロナ禍が落ち着いてファーマーズマーケットが再開したら、高級スーパーマーケット「ゲルソンズ」(第1回目のコラム参照)で、昨秋購入できず味わえなかった、筆者の大好物の柿をさっそく購入しようと思う。

オーナーのドナル・ヤスコチ / Donal Yasukochiさん。

オーナーのドナル・ヤスコチ / Donal Yasukochiさん。

●Yasukochi Family Farms(ヤスコチ・ファミリー・ファームス)の情報
URL:https://www.yasukochifamilyfarms.com
農場の場所:Oceanside, CA(カリフォルニア州サンディエゴ郡オーシャンサイド)
創業年: 1908年
オーナー:Donal Yasukochi(ドナル・ヤスコチ)

次回も、日本の典型的な野菜や果物を栽培しているカリフォルニアの農場を紹介する。

(註)円換算は1ドル104円

文=藤本庸子(Yoko Fujimoto) ロサンゼルス在住ライター

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