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【世界の注目農業ニュース】米国「ヒヨコ豆の豆腐、野菜や果物のジャーキーが新しい!」

ヒヨコ豆と植物性代変え肉のバーガーパテ

2021年は世界で果物と野菜が注目される年だ。なぜなら、第74回国連総会にて「国際果実野菜年(International Year of Fruits and Vegetables 2021: IYFV 2021)」と採決されたからだ。果実と野菜が「人間の栄養」「食料安全保障」「健康」「持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals / SDGs)」に果たす重要な役割について意識啓発を行なう今年、 消費者はどんな物を食べたいのだろうか? 米国ロサンゼルス在住のライター、藤本庸子が解説する世界の農業ニュース。

米国『ヒヨコ豆の豆腐、野菜や果物のジャーキーが新しい!』

米国のABCテレビ局(American Broadcasting Companies, Inc.)で、2021年1月6日に放送された朝のニュース番組「Good Morning America(グッドモーニング・アメリカ)」では、「2021年は、食物繊維と植物性たんぱく質が豊富なヒヨコ豆がトレンド食品となる」と伝えていた。

同局の2021年1月6日付け記事(Food and grocery trends to hit shelves in 2021 and what to expect)では、「2020年には自宅で料理をする人が増えて、オンラインでスーパーマーケットや食料品を検索する人も増えた」という。

健康プログラムのコーチング会社「プリシジョン・ニュートリション(Precision Nutrition)」の栄養士、ライアン・アンドリュース(Ryan Andrews)さんは、「コロナ禍で食肉加工工場での集団感染問題やスーパーマーケットでの一時的な食品の品切れ問題などから、“この食べ物はどこから来たのか?” と気にする消費者が増えている」と話す。

オーガニック専門スーパーマーケットの「Whole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)」が発表した「2021年に注目される食べ物の予測」によると、「サプリメントと食料品の境界線が曖昧になってきており、2021年もこの傾向は続くだろう」という。

心身を穏やかにし、免疫システムをサポートするビタミンC、キノコ、アダプトゲン(ストレスへの抵抗力を高める働きのある天然のハーブ)などの機能的な栄養成分を含むスーパーフード、プロバイオティクス、ブロス、ザワークラウトが売れ筋となるだろう。

これまでプロテインバーやコーヒーなどで朝食を簡単に済ませていた人々が、在宅勤務で自宅にいることが増え、「しっかり食べる朝食が大事」だと気づき、これまで週末に食べていたパンケーキなどを平日にも食べたり、緑豆で作られた「代替卵」を食べるだろう。

主食にも変化があり、パスタ、パスタソース、スープ、スパイスなどにひと工夫加えた新しい食品が注目されるだろう。例えば、ヤシの芽でできたパスタ、アップルウッドの燻製塩、代替肉のヴィ―ガンスープなど。

コーヒーも普通に飲むのではなく、コーヒーが入ったスナックバー、グラノーラ、スムージー、お酒、ヨーグルトなどに人気が集まるだろう。

ルバーブ、ローズマリー、紫ニンジン、オメガ3が豊富なフラックスシード(亜麻仁の種)などが入ったパウチ入り離乳食など、ベビーフードも進化するだろう。食用オイルも進化しており、くるみ、カボチャの種、ヒマワリの種などを使った食用オイルが登場。

コンブチャ(紅茶キノコ)をベースにしたグルテンフリーのアルコール飲料が注目されたり、ビーフジャーキーならぬ、ジャックフルーツジャーキーやキノコジャーキーなど、甘味、塩味、スパイシー味の果物や野菜のジャーキーも注目されるだろう。

白米や小麦の代替食材として人気があるカリフラワーのように、最近人気なのは、食物繊維と植物性たんぱく質などが含まれているヒヨコ豆。フムス、ファラフェル、ヒヨコ豆で作ったパスタの他、最近はヒヨコ豆で作った豆腐、ヒヨコ豆のフラワー(粉)、ヒヨコ豆のシリアルなども展開。大ヒットの食べ物となるだろう。

食料ロスの削減として、これまで廃棄されていた果物や野菜の茎、葉っぱ、皮などを活用したアップサイクル食品も注目されるだろう。

前出の栄養士ライアン・アンドリュース(Ryan Andrews)さんは、「2021年の食品トレンドのポイントは、環境のサスティナビリティ(持続可能性)をサポートする食品。 健康を改善する栄養価の高い食品。植物性たんぱく質の食品」とまとめている。

なかなか収束しないコロナ禍で、消費者は免疫力を高め、健康でいられるように、身体に良く栄養価の高い野菜や果物を今後も食べ続けるだろう。世界の農業の力に期待したい。

UK『テフとグアンチャーレが人気に?』

「熱狂的な食べ物好きのあいだでは、これまでキムチ(Kimchi)に注目が集まっていたが、今年(2021年)は、テフ(Teff / 主にエチオピアで栽培されている穀物の一種)またはグアンチャーレ(Guanciale / 豚の頬肉を塩漬け&熟成させたハムやサラミの一種でイタリア特産品)に注目が集まるだろう」というのは、UKのザ・ガーディアン(The Guardian)の2021年1月17日付けの記事(How do food trends happen -and what will be eating in 2021)。

「テフ」はキヌアの次に流行ると言われ、スーパーフードとして注目されつつあり、「グアンチャーレ」は本場イタリアのカルボナーラに欠かせない食材だ。

UKでも、米国と同様に、毎年1月になると、各メディアが「今年注目される食べ物」を予測する。同記事によると、「これまで紹介されてきた食べ物、例えば、クラフトジン(Craft Gin)、プルドポーク(Pulled Pork)、アサイーベリー(Acai Berry)、コチュジャン(Gochujang)、ペイストリースタウト(Pastry Stout)などを販売する業界人たちは大儲けしてきた」とあり、流行が予測される食べ物を扱うことで、農業従事者や小売業者などはビジネスチャンスを見つけることができるかもしれないという。

業界誌「The Grocer(ザ・グローサー)」の編集者、ダニエル・ウルフソン(Daniel Woolfson)さんは、「これまでに流行したコンブチャ(Kombucha / 紅茶キノコ)、カップケーキ(Cupcake)、ブリュードッグ(Brewdog)、スマッシュトパティ・バーガー(Smashed-Patty Burger)などは人気が続いている」と指摘し、流行が予測される食べ物は今後のビジネス・ヒントとして貴重だと強調する。

ブランディング・コンサルティング会社の「Big Fish(ビッグ・フィッシュ)」の創業者、ペリー・ハイデン・テイラー(Perry Haydn Taylor)さんは、「食べ物はファッションと同じだ」と、流行を意識することの重要性も指摘。

「Facebook IQ(フェイスブックIQ)」によると、UK のSNS「インスタグラム / Instagram」で最も人気の話題は食べ物と飲み物についてだ。同SNSユーザーの39%は、自分自身を「食べ物愛好家」と考えているという。

それでは、前述した「テフ」と「グアンチャーレ」以外の、UKで2021年に人気となりそうな食べ物トップ3を挙げてみよう。

1: 「オーツ麦ミルク(Oat Milk)」、2: 「スクレイ(Skrei / 鱈)」、3:「ラオガンマー(Lao Gan Ma / 中国のラー油ブランド)」。

「オーツ麦ミルク(Oat Milk)」は、ポストミルク世代に受けている。「スクレイ(Skrei / 鱈)」は、UKの高級レストランのシェフたちのおかげで売れ筋になり、ノルウェーの漁業は繁盛している。「ラオガンマー(Lao Gan Ma / 中国のラー油ブランド)」の創業者、老幹媽(ラオガンマー)さんは、フォーブス誌の億万長者リストにランキングされたという。

この他に、Corn Ribs(コーン・リブ)、Young Garbanzo(若いヒヨコ豆)、Hard Seltzer(ハードセルツァー / アルコール入り炭酸水)、Carob(キャロブ / チョコレートやココアパウダーの代用として人気になっているイナゴ豆)、Table Beers(テーブルビール / アルコール成分2.5%~2.8%。アルコール成分が低いビール)、Smoked Salt(バラエティ豊かなフレーバーが揃う燻製塩)、Banana Blossom(バナナの花 / 東南アジアで魚の代わりにヴィ―ガンが食べる)、Eringi Mushrooms(エリンギキノコ / 中国人のようにステーキや帆立の代わりに食べる)。

「ところで、アフリカ産の果物、アボカドが世界中で売れ始めた経緯を知っている人はどのくらいいるのだろうか?」と同記事は読者へ問いかけている。

アボカドは、ロンドンにあるPRエージェンシー「リッチモンド&タワーズ(Richmond&Towers)」によって、20年かけて世界に広められたという。 1995年に、南アフリカのアボカド栽培者協会(South African Avocado Growers Association)で活動を開始し、ジャーナリストを南アフリカへ連れて行き、シェフ、健康とライフスタイルの大使などと共にアボカドの知名度を高め、販売店の広告やレシピの小冊子を作成し、消費者へアボカドの食べ方を伝え、アボカドを販売してきたのだ。

ちなみに、アボカドの生産量で世界のトップは、米国の隣国であるメキシコだ。同国ではメキシコ料理に欠かせない果物となっている。しかし、近年のアボカド人気のためにアボカドの需要が高まり、値段が上がり、特に2017年の不作の年だった頃からアボカドは品数が少なくなり、高値の果物となってしまった。一般のメキシコ人にとっては、アボカドの世界的な人気は有難くないという話もある。

しかし、アボカドは美味しい。この美味しい果物を世界へ広めることは、社会貢献でもあったのではないか。世界で珍しく、しかも質の良い日本の典型的な野菜や果物も、アボカドのように世界へ広めていけば、日本の農業の世界も広がるのではないか。

文=藤本庸子(Yoko Fujimoto) ロサンゼルス在住ライター

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